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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科25巻9号

1990年09月発行

文献概要

臨床経験

胸椎後縦靱帯肥厚症の1手術例

著者: 中光清志1 久保田政臣1 栗尾重徳1 野田慎之1

所属機関: 1松山赤十字病院整形外科

ページ範囲:P.1087 - P.1090

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 抄録:後縦靱帯の骨化によるミエロパチーはよく知られる疾患であるが,後縦靱帯の肥厚を病因とするものに関してはその報告は少ない.上小鶴1),倉田2)は,頸椎部にみられたこのような症例を後縦靱帯肥厚症と名づけて報告している.今回我々は,胸椎部にみられた本症と考えられる症例を経験した.症例は65歳の男性で,主訴は歩行障害であった.ミエログラフィー,ミエロCTにてTh 8椎体中央よりTh 10椎体下縁にかけ前方よりの脊髄圧迫を認めたが,同部には後縦靱帯の骨化所見はなかった.MRIにてこの脊髄圧迫要素は無信号強度領域として描出され,その上下にも帯状に連続しており,肥厚した後縦靱帯と思われた.椎弓切除術を行い,症状の軽快をみ,術後2年3カ月の現在肥厚した後縦靱帯に骨化は認められていない.今後,後縦靱帯骨化へと進展する可能性は否定できないが,本症例を後縦靱帯肥厚症という新しい疾患概念としてさしつかえないと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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