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手術手技シリーズ 関節の手術<下肢>
足関節外側靱帯再建術―解剖学的再建法
著者: 多賀一郎1 史野根生2 井上雅裕2 堀部秀二3
所属機関: 1星ヶ丘厚生年金病院整形外科 2大阪大学医学部整形外科 3久留米大学医学部整形外科
ページ範囲:P.35 - P.42
文献購入ページに移動陳旧性足関節外側靱帯損傷に対する靱帯再建術は非常に多くの方法が報告されているが,そのほとんどのものに共通した2つの問題点があげられる.
第一は,真に解剖学的な靱帯再建ではないことである2,4,7,8).生理的な状態では関節の運動に際して靱帯はほぼisometricであるということはまず膝の靱帯について指摘されてきたが,ここ1~2年は足関節についても研究されるようになった5,10,12~14).isometricityの概念から,靱帯再建術で関節の安定性と可動性をともに獲得するには,解剖学的な部位に正確に再建するしかないことがわかる10,13).膝の十字靱帯に関しては,従前の付着部を温存した方法では解剖学的再建は不可能であることから遊離移植片による再建法が施行されるようになってその成績は飛躍的に進歩したといえる.この点,足関節の一般的な靱帯再建術であるChrisman-Snook法,Watson-Jones法,Evans法等はすべて移植腱の付着部を温存することにこだわった方法であるが,真に解剖学的な再建法とはいえない21).
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