手術手技 私のくふう
有痛性分裂膝蓋骨に対する経皮的drilling法
著者:
井上恵介1
塩見俊次1
三馬正幸1
島屋正孝1
玉井進1
藤沢義之2
所属機関:
1奈良県立医科大学整形外科学教室
2奈良新大宮整形外科
ページ範囲:P.1191 - P.1195
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抄録:有痛性分裂膝蓋骨に対して過去に報告のない経皮的drillingを行い良好な成績が得られているので報告する.これまでに本法で治療した症例は10例で,全例男子で16歳以下である.X線分類ですべてSaupeのIII型であった.drillingは皮膚切開を加えずにイメージ透視下に経皮的に直径1.0~1.5mmのKirschner鋼線を用いて膝蓋骨の外側上部より行った.術後は4週間ギプス固定を行うが,とくに免荷は行わない.最年長の1例2膝を除き骨癒合は良好であった.術後2カ月頃より分界部は不鮮明となり,3ヵ月でほぼ完全に癒合する.臨床的には,全例において術前にみられた運動痛や圧痛などが消失しており,良好な結果を得ている.
経皮的drillingは骨移植術や骨片摘出術に比べて侵襲が小さく,荷重面の減少や伸展機構の損傷も少ない.また,後療法も容易でありスポーツの制限期間は短く,若年のスポーツ選手などには大変優れた方法である.