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手術手技シリーズ 関節の手術<下肢>
先天性内反足に対する軟部組織解離術
著者: 加藤哲也1
所属機関: 1国立東京第二病院整形外科
ページ範囲:P.1273 - P.1285
文献購入ページに移動先天性内反足が整形外科領域における難治性疾患であることは周知のことである.近年の研究から胎内成長の過程において障害の及ぶ時期,期間によって変形,拘縮の程度が異なってくることがわかった15).したがって,1疾患名に対して画一的治療を行ってはならない.先天性内反足は観血的治療を要することが多いことは事実であるが,手術を前提として治療するのではなく,治療の過程において重症度を判定して重症度に応じた治療を行う.この場合も手術によって解剖学的異常を矯正することは,手順が正しければさほど困難なことではないが,手術に伴ういろいろなリスクや術後のある程度の不可避の拘縮などのdemeritと保存的治療を貫くことによるdemeritをよく勘案して治療方針を決定することが大切である.また手術を行う以上は再手術は間違いなく予後を悪化させるので,これを極力避けるように完全な解離がなされる手術方法を選択し,十分な後療法と長期にわたる経過観察を行うことが肝要である.今回は軟部組織解離術に限って,その適応,手術方法とその周辺,そして後療法について述べる.
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