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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科26巻11号

1991年11月発行

文献概要

臨床経験

MRSAによる小児大腿骨骨髄炎に膿胸を併発した1例

著者: 村上弘1 松末吉隆1 小野講三1 大庭真央1 山室隆夫1 真弓光文2 浅井康一2

所属機関: 1京都大学医学部付属病院整形外科 2京都大学医学部付属病院小児科

ページ範囲:P.1313 - P.1315

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 抄録:我々は市中感染によると思われる膿胸を併発したMRSAによる小児大腿骨骨髄炎の稀な1例を経験したので報告する.症例は3歳の男児で,平成2年6月初旬転倒し左膝を打撲した.約1週間後,発熱および左大腿遠位部の著明な腫脹および疼痛を生じ,さらに呼吸器症状が出現した.胸腔内からの膿の培養よりMRSAによる膿胸の診断のもとバンコマイシン,アミカシン等の抗生剤の投与により2回の再燃を繰り返したものの膿胸は軽快した.しかし左大腿部の病変は進行し病的骨折を生じたため,8月下旬に病巣掻爬と10日間のバンコマイシンによる持続洗浄を施行し,2カ月のギプス固定を行った.4カ月半後,骨癒合は良好で疼痛も消失し全荷重歩行は可能である.我々の渉猟しえた範囲では本邦でのMRSAによる小児大腿骨骨髄炎の報告は2例のみで,膿胸を併発した重篤な例はない.MRSAの増加している現在,このような症例の増加が予想され注意を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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