臨床経験
硬膜内髄内外に発生した胸髄血管腫の1例
著者:
戸田克広14
檜垣哲基14
佐々木宏14
馬場逸志2
住田忠幸2
木村浩彰2
林雄三3
所属機関:
1双三中央病院整形外科
2広島市立安佐市民病院整形外科
3広島市立安佐市民病院検査部
4現:尾道総合病院
ページ範囲:P.1321 - P.1324
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抄録:硬膜内髄内外腫瘍(以下,髄内外腫瘍)の1例を報告する.1978年頃より両下肢にしびれが生じ,1984年当科で脊髄造影を行ったが異常所見はなかった.1989年4月より急速に両下肢の麻痺が進行した.脊髄造影像にて第7胸椎高位で造影剤濃度の低下は認めたがQueckenstedt徴候は陰性,Gd-DTPA MRIにて同部に雪だるま状の陰影を認めた.硬膜切開前に超音波法を行い髄内外腫瘍と判明し,顕微鏡下に髄外部分,髄内部分を全摘し椎弓形成術を行った.組織像では軽度拡張した毛細血管の増生はみられるが,いわゆるstromal cellの増生はなくhemangiomaと診断された.術後知覚障害,歩容が改善された.
髄内外にわたる腫瘍は稀であり,術前の診断が困難である.我々は髄内外hemangiomaの1例を経験し,その全摘を行ったので報告する.