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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科26巻2号

1991年02月発行

雑誌目次

視座

関節の固定と運動

著者: 渡辺英夫

ページ範囲:P.111 - P.112

 整形外科疾患の治療過程で,一定期間関節の外固定を行うことは少なくない.関節固定期間が長くなった場合の合併症は,関節拘縮,関節周囲の筋萎縮や筋力低下,骨萎縮や骨粗鬆症などであり,廃用症候群(別名二次的合併症または低運動性疾患)と呼ばれている.これは特に老人に生じやすく,いったん出現すればその治療や改善のために多くの日時と費用を要し,患者の身体的,精神的,経済的負担が少なくないのは周知のとおりである.
 これら合併症の予防のためにも,関節の固定範囲や固定期間が過剰にならないように注意し,「治療上必要な関節のみを,必要最小限の期間だけ固定し,他の関節は固定しない」のが原則になっている.しかし,現実的には固定範囲や固定期間の必要最小限を自信を持って決定することは必ずしも容易ではない.

論述

腰椎部脊椎分離症に対するtransverse process wiring法の成績と適応

著者: 杉原繁明 ,   大谷清 ,   柴崎啓一 ,   斎藤正史 ,   釼持和彦 ,   伊佐治純 ,   大友啓資 ,   河野亨 ,   坂本日出雄

ページ範囲:P.113 - P.119

 抄録:14例の腰椎部脊椎分離症に対して分離部固定術であるtransverse process wiring法を行い,手術時摘出した分離部の病理組織学的検索を行った.年齢は平均17歳,男10例,女4例で,L41例,L513例でうち2例にすべりを認めた.術後経過観察期間は平均2年1ヵ月で,JOA scoreは術前平均22点,術後平均28点で満足する結果が得られた.分離部は,病理組織学的に結合組織,軟骨性組織,骨組織で覆われ,骨性癒合の細胞反応はほとんどなく偽関節様を呈していた.比較的若年者で,保存的治療に抵抗し愁訴の原因が分離部にある症例に対して,本法は極めて有用な方法であり,腰椎部脊椎分離症の根治的療法である.

片側性変股症に対する人工股関節手術の成績―両側手術群との比較検討

著者: 松末吉隆 ,   山室隆夫 ,   笠井隆一 ,   清水和也 ,   奥村秀雄 ,   上尾豊二

ページ範囲:P.121 - P.125

 抄録:1977年以降行われた全人工股関節置換術の中で,片側性股関節症(CharnleyのカテゴリーA)に対する手術群と両側性股関節症(カテゴリーB)に対する同時期両側手術群とを比較検討した.両群とも手術時年齢65歳以下で,5年以上の経過観察期間の例を用いた.片側群は45例45関節で,手術時平均年齢55.6歳,平均経過観察期間は7.5年で,日整会評価点数は調査時平均87点であった.しかし,そのfailure rateは31%と高率で,7年でのsurvivorshipは70%,10年では50%であった.一方,両側群は27例54関節で,手術時平均年齢54歳,平均経過観察期間は7.8年で,日整会評価点数は調査時89点であった.failure rateは11%と低く,survivorshipは7年で89%,10年では81%であった.X線学的には両群間に差はなく,アンケート調査により活動量の調査で,ステッキの使用や歩行距離に差を認めた.比較的若年(60歳以下)の片側性股関節症に対する全人工股関節手術の適応は慎重であるべきと考えられた.

腰部脊柱管拡大術の意義と価値

著者: 松井寿夫 ,   辻陽雄 ,   関戸弘通 ,   加藤義治 ,   平野典和 ,   牧山尚也

ページ範囲:P.127 - P.132

 抄録:青壮年者および比較的活動性の高い腰部脊柱管狭窄症,すなわち脊柱管内靱帯骨化,発達性狭窄あるいは分節不安定性を伴う変性腰部脊柱管狭窄症に対し,医薬大式脊柱管拡大術を20例に施行し,うち1年以上7年,平均3年経過した10例の局所変化と成績を分析した.脊柱管はCTによっておおむね四角形に拡大され,拡大率は平均119%(1.9cm2)であった.日整会腰痛疾患治療判定基準では術前平均10.4点が術後平均24点,改善率は平均73%であった.長期的にも成績が維持され,いずれも望む高い活動性が約束された.本術式はinstrumentationを使うことなく,十分な除圧と制動ないしは固定が同時に得られ,脊柱管内操作も十分可能である優れた1つの方法と考えられた.

シンポジウム 先天性股関節脱臼に対する治療法の限界と展望

総括と今後の展望

著者: 山室隆夫

ページ範囲:P.133 - P.135

はじめに
 最近30年間のわが国における先天股脱に関する基礎的および臨床的研究の成果を,私は諸外国のそれとの対比において注意深く見てきたが,その結論として現時点でいえることは,先天股脱に対する予防・検診・治療の全国的な組織化がこれほどバランスよく発達した国はわが国以外にはあまり類をみないのではないかということである.その結果として,わが国における先天股脱の発症率は以前の1/10にも減少し,いわゆる難航例の絶対数も減少してきた.しかし,これで先天股脱のすべての問題が解決したのではなく,これからは数は少ないが,genetic factorsやintra-uterine factorsの影響を強く受けた難治例が残ってくるので,先天股脱に対する戦略を修正しなければならない時期にきていると思われる.

Riemenbügel法

著者: 村上宝久 ,   片田重彦

ページ範囲:P.136 - P.140

 抄録:RB法で治療し,15歳以上まで追跡した先天股脱102例127関節について,X線学的成績および臨床成績を調査した.最終成績では,X線学的に解剖学的治癒と考えられるSeverinのIa群は38%であった.臨床成績では65%が優であった.骨頭変形は,5関節(3.4%)に中等度以上の変形を認め,軽度のものを含めると,18関節(12.3%)にみられた.成績を左右する因子としては,判定基準の問題,骨頭変形,臼蓋形成不全を取り上げた.判定基準では,SeverinのIa群のみが解剖学的治癒としてよいと考えられた.骨頭変形と臼蓋形成不全の成績に与える影響を検討したが,臼蓋形成不全は約半数に残存し,またこれによる臨床症状の悪化例が多いため,臼蓋形成不全を幼児期に補正手術しておくことが,先天股脱の治療法の向上に重要である.

overhead traction法

著者: 吉橋裕治 ,   田中哲司 ,   服部義 ,   三浦隆行

ページ範囲:P.141 - P.147

 抄録:先天股脱に対して1964年以降施行してきたOHT法の整復率,整復例の長期成績,ペルテス病様変化(以下ペ変)の発生率,整復後の関節内介在物の消長について調査した.整復率は,方法の改良前後で83.8%から97.3%へと明らかに増加していた.14歳以上に達した84例109関節のSeverin評価では,I群(正常股)は34.0%でRB法整復例とは明らかな差を認めたが,これは治療開始月齢をはじめとする対象症例の相違に基づくものと思われた.10歳以上に達した141例181関節のペ変発生率はKalamchiの分類にて9.9%で,III・IV群に属する例は2.8%であった.ペ変発生例の水平牽引期間は生じなかった例に比し有意に短かった.関節内介在物は多くの例で消退していたが,整復時関節造影像上,整復位,脱臼位とも均一な臼底肥厚を示す例では遺残する傾向がみられた.OHT法は難治例に対して,比較的安全に高い整復率を得ることが出来る優れた治療法である.しかし,症例の一部に介在物の遺残を認めることがあり,これは保存的治療の限界を示すものと考えられる.

Ludloff法

著者: 池田威 ,   和田郁雄 ,   伊藤博一 ,   林信彦 ,   松井宣夫 ,   高井康男

ページ範囲:P.149 - P.155

 抄録:先天性股関節脱臼の治療は乳児がその治療対象の主体となってきたため,その観血整復も侵襲の少ない内側皮切が選択されるようになった.われわれは,Salzer,Mauらにより発表されたLudloff皮切を用いて,整復障害因子はanterior tightnessであるとの考え方に基づいた観血的整復術を,1972年以降行ってきた.今回10年以上経過した50例57関節の治療成績を報告した.この方法は従来の関節唇を主体とした方法に比し,臼蓋の修復と求心性の獲得に利点が多いと考えられた.Severinのgroup Iは全体の24.6%で,group IIを含めると73.7%であった.既往の治療が術後成績にかなり影響を与えており,種々なる保存療法が行われたものの,成績は不良であった.補正手術は57関節中21関節36.8%にソルター手術を行った.先天股脱が減少し,難治例の割合が多くなった現状では手術適応範囲の若干の拡大も必要と考えられた.

広範囲展開法

著者: 小田浤

ページ範囲:P.157 - P.161

 抄録:岡山大学整形外科では,1973年以降,関節包を全周にわたり切離し,寛骨臼全体を直視下に収め,あらゆる整復障害因子に対処できる,いわゆる広範囲展開法を開発し,保存的整復の出来なかった先天股脱の観血的整復術を行ってきた.本法の目的は,術直後より求心位を得ることより,その後の股関節発育の順調化を期待することにある.
 今回,手術時年齢が1~3歳で,術後10年以上経過した39例45股を対象に,その治療成績を臨床的ならびにX線学的に検討した.McKayの臨床評価は,excellentが37股82.2%で,good 3股,fair 5股であった.α角は3,6,10歳時と,またCE角も3,6,10歳,最終調査時と有意の差をもって増加していた.術後平均12年9カ月の最終調査時,Severin評価はI群28股(62.2%),II群10股(22.2%),III群6股,IV群1股と優れていた.

臼蓋形成不全とその手術的矯正

著者: 船山完一 ,   藤井玄二 ,   大山正瑞

ページ範囲:P.163 - P.170

 抄録:乳幼児期にX線像上にみられる臼蓋形成不全について,①4ヵ月時から15歳に至る自然経過,②そのRiemenbugel着用による可変性,③先天股脱の遺残亜脱臼例の手術的臼蓋矯正効果,のX線像計測によるretrospective controlled studyを行った.その結果から,乳児期の臼蓋形成不全像は成人の臼蓋形成不全股に発育しやすいような一次性因子と,股関節のinstabilityから二次的に惹起され自然改善し難い因子の両者を現すと推測した.また,臼蓋形成不全を伴う亜脱臼状態に対する広義の臼蓋形成術について,その適応の選定が年齢,亜脱臼度,関節症の進行の3点から行われることを述べた.

ペルテス様変化について

著者: 岩崎勝郎

ページ範囲:P.171 - P.179

 抄録:ペルテス様変化の病態の解明と,管理のあり方を知るために,X線学的分析を行った.214股のペルテス様変化例に対し,変形発生時のX線像を分析し,これらと成長終了時との関係を調べ,更に血管閉塞部位を検討した.また手術が行われた30股の予後調査を行い,本症に対する手術の有用性を調べた.
 ペルテス様変化発生時のX線像は,①外側変形型,②内側変形型,③扁平不整型,④分節型,⑤metaphysis変化型,⑥消失型,⑦出現遅延型の7型に分けられた.そして,成長終了時には,①と②はKalamchi and MacEwenのgroup 1に,⑤はgroup 3に,⑥,⑦はgroup 4に進展している例が多かったが,③と④は多彩な変形のきかたを示した.手術例のX線学的成績を調査した結果,大腿骨側,臼蓋側いずれの操作でも本症の自然経過を変えることはできず,本症の予後は,発症時すでに決っていると考えられた.

検査法

術後の下肢深部静脈血栓症の診断における超音波圧迫負荷試験法について

著者: 原雄人 ,   内藤正俊 ,   加治浩三

ページ範囲:P.181 - P.184

 抄録:術後の下肢深部静脈血栓症の診断において,現在のところ確定診断は静脈造影であるが,侵襲性,放射線被爆非反復性といった問題が存在する.そこで今回我々は,非侵襲性,ベッドサイドでの反復可能といった点で優れている超音波を使った圧迫負荷試験を行い,その有用性について検討した.
 下肢の骨接合術,腰椎の術後等において,片側の下肢の腫脹,痛み等,深部静脈血栓症が疑われる17名に対して,超音波圧迫負荷試験および静脈造影を施行,2名に血栓を確認した.静脈造影に対して偽陽性例,偽陰性例はなく,超音波圧迫負荷試験法は非侵襲性,簡便,放射線被爆がないといった点で優れており,その診断の正確性においても静脈造影と同等の評価が得られる検査法である.

整形外科を育てた人達 第90回

Silas Weir Mitchell(1829-1914)

著者: 天児民和

ページ範囲:P.185 - P.187

 私は戦争中6年間召集を受け,その間に大阪と東京の陸軍病院に勤務したが,平和な時には経験しなかった外傷,疾病を経験して,当惑した思い出がある.その中で,特に灼熱的な痛みに苦しむ患者を見て驚き,文献を探してこれがCausalgiaであることを知り,これを詳しく報告したのが,Silas Weir Mitchellであることも教えられた.Mitchellは,神経病学者であるが,小説も書き詩人でもある多才な学者で,整形外科との関係は多くないが,Causalgiaの研究者としてのみならず,Ascending Neuritis Erythromelalgiaの研究において忘れることの出来ない学者である.

臨床経験

膝蓋骨コンポーネントの著明な摩耗を呈したMiller-Galante型人工膝関節の1例

著者: 武田記和 ,   浜本肇 ,   武田信巳 ,   綾久文 ,   藤田裕

ページ範囲:P.189 - P.192

 抄録:変形性膝関節症に対し,Miller-Galante(M/G)型人工膝関節置換術を施行したところ,術後10ヵ月頃より膝関節の屈伸に際し摩擦音を聴取するようになり,術後2年半で膝蓋骨コンポーネントの著明な摩耗を呈し,再置換術を必要とした症例を経験した.Patellar domeの外化則部が折損して,関節内に脱落しており,露出したメタルプレートに著明な摩耗を認めた.
 M/G型人工膝関節は,発売当初より1988年2月頃までcarbon reinforced polyethylene(Poly-TwoTM)を使用していたが,Poly-Twoの材質上,耐摩耗性に問題があり,白色ポリエチレンに変更されている.また,metal-backed patellar componentはmalalignmentにより偏心性に負荷がかかると,破損あるいは摩耗を来しやすく,細心の注意が必要である.Zimmerは膝蓋骨コンポーネントのデザイン変更後,破損例はないとしているが,旧タイプ使用例については注意深いfollow-upを要する.

感染した人工膝関節3症例の診断と治療経験

著者: 矢吹省司 ,   沼崎邦浩 ,   武田浩一郎

ページ範囲:P.193 - P.197

 抄録:当院では,1982年以降現在まで86症例112関節の人工膝関節置換術を行っている.このうちの3関節(2.7%)に遅発性感染が発生し,人工関節抜去後に,Kinematic rotating hinge prosthesisを用いて二期的再置換を行い良好な結果を得た.
 症例1:83歳,男性,OA.症例2:80歳,男性,OA.症例3:69歳,女性,RA

手根管症候群に対する背側手関節装具療法

著者: 原隆久 ,   渡辺好博 ,   山本博司 ,   高柳誠 ,   山原慎一 ,   土田浩之 ,   中角祐治 ,   長岡進一

ページ範囲:P.199 - P.201

 抄録:手根管症候群25例31手に対し,背側手関節装具のみを用いた保存療法を行った.その内19例23手について検討し,保存療法の成績と適応を考察した.装具は手関節背側支持,軽度背屈位とし,手掌部に掌側バーを入れた.効果判定は4~6週で行った.結果は,「優」が4例6手,「良」が8例8手,「可」が4例4手,「不可」が4例5手であり,「優」および「良」は12例14手,61%であった.母指球筋の萎縮を伴うもの,SCVの高度な遅延,TLの著明な延長がみられるものは成績不良例が多かった.
 私たちの用いた装具は,手関節の厳密な固定を行うものではないが,使用しやすい装具を1日の大部分装着することで効果が得られるものと考えられる.

両側腓骨に引続き右大腿骨にも疲労骨折を生じた1例

著者: 安田義 ,   宮崎和躬 ,   多田健治 ,   松田康孝 ,   安田厚 ,   村上仁志

ページ範囲:P.203 - P.206

 抄録:疲労骨折は,最近のスポーツの普及に伴い,スポーツ障害の1つとして注目されている.今回我々は,両側腓骨に引続き右大腿骨にも疲労骨折が生じた稀な1例を報告する.
 症例は15歳,男子,ラグビー部員,毎日60kgの負荷をかけたスクワット練習と持久走をしていたところ,両膝外化則遠位の疼痛を訴えて来院した.X線写真で両腓骨頸部に骨折を認めたため安静を指示したが,疼痛が軽減したため勝手に練習を再開し,初診より1ヵ月後に右大腿骨顆上部にも骨折が生じた.安静を命じ,初診より半年後から練習を再開させた.

小児多発性骨結核(BCG骨髄炎)の1例

著者: 藤田秀隆 ,   細野昇 ,   米延策雄 ,   江原宗平 ,   小野啓郎 ,   原田茂

ページ範囲:P.207 - P.211

 抄録:小児多発性骨結核の1例を報告する.患者は3歳,男児.背部痛にて発症し,単純X線で第1腰椎が均一に圧潰偏平化しており,好酸球性肉芽腫症または結核性骨病変が疑われた.胸部X線には肺結核の所見もなく,喀痰,胃液,尿培養でも結核菌を証明できず,鑑別診断のため生検を施行したが,HE染色による組織所見では両者の鑑別が依然として困難であった.そこで,酵素抗体法による染色を施行した.検体はリゾチーム染色,抗BCG抗体を用いた染色で強く染色され,S 100蛋白染色では,ほとんどの細胞が染色されなかったことより,免疫組織化学的には結核性病変と判定した.臨床的には,抗結核剤投与とともに急速に炎症所見は改善し,X線上,骨破壊所見も改善した.これらより,本疾患を多発性骨結核と診断した.更に,この患者には,BCG接種後の難治性皮膚炎の既往があることより,BCG接種後のBCG骨髄炎も疑われたので,それらに関する考察を加えて報告する.

Salmonella typhiによる大腿骨骨髄炎の1例

著者: 生田進一 ,   藤田久夫 ,   竹内一喜 ,   三井俊博 ,   後藤義人 ,   萩野哲也 ,   田中和具

ページ範囲:P.213 - P.215

 抄録:患者は18歳の女性で,高熱により発症.下熱時に右大腿内側部痛が出現し,その約1ヵ月後に右大腿骨転子下病的骨折を起こした.生検および髄内釘による骨接合術後,排膿によりSalmonella typhiによる骨髄炎と判明したが,生検時の病理組織所見と一般細菌培養では骨髄炎と診断できなかった.腸チフス罹患後,骨髄炎が潜在し,髄内釘による骨接合によって顕在化したと推察された.

再生不良性貧血の治療に続発した小児ステロイド性大腿骨頭壊死の1例

著者: 山崎謙 ,   渥美敬 ,   扇谷浩文 ,   吉田雅之 ,   山野賢一 ,   黒木良克

ページ範囲:P.217 - P.221

 抄録:ステロイドの使用に関与して発生する大腿骨頭壊死は多数報告されているが,小児での発生例の報告は稀である.今回筆者は,7歳の女児に発生したステロイド性大腿骨頭壊死を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.ステロイド投与の期間は6ヵ月間で,その間にパルス療法を2回受けた.その1日最大投与量はプレドニン換算で1,250mgであり,総投与量は23,974mgであった.本症例では,ペルテス病よりもむしろ成人の特発性大腿骨頭壊死に類似した病像を示したが,牽引にて早期に壊死域の縮小が認められた.本症例の修復過程は,小児と成人の中間の骨形成能によるものと推測された.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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