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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科26巻2号

1991年02月発行

文献概要

シンポジウム 先天性股関節脱臼に対する治療法の限界と展望

overhead traction法

著者: 吉橋裕治1 田中哲司1 服部義1 三浦隆行1

所属機関: 1名古屋大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.141 - P.147

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 抄録:先天股脱に対して1964年以降施行してきたOHT法の整復率,整復例の長期成績,ペルテス病様変化(以下ペ変)の発生率,整復後の関節内介在物の消長について調査した.整復率は,方法の改良前後で83.8%から97.3%へと明らかに増加していた.14歳以上に達した84例109関節のSeverin評価では,I群(正常股)は34.0%でRB法整復例とは明らかな差を認めたが,これは治療開始月齢をはじめとする対象症例の相違に基づくものと思われた.10歳以上に達した141例181関節のペ変発生率はKalamchiの分類にて9.9%で,III・IV群に属する例は2.8%であった.ペ変発生例の水平牽引期間は生じなかった例に比し有意に短かった.関節内介在物は多くの例で消退していたが,整復時関節造影像上,整復位,脱臼位とも均一な臼底肥厚を示す例では遺残する傾向がみられた.OHT法は難治例に対して,比較的安全に高い整復率を得ることが出来る優れた治療法である.しかし,症例の一部に介在物の遺残を認めることがあり,これは保存的治療の限界を示すものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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