特集 主題I:Spinal Dysraphism/主題II:Pedicular Screwing(第19回日本脊椎外科学会より)
主題I:Spinal Dysraphism
実験的に作製した脊椎脊髄形成異常に関する知見
著者:
岩井宏次1
谷内幹弘2
渡辺秀男2
小野村敏信2
山本定3
大島正義4
稲毛昭彦5
所属機関:
1育生会久野病院整形外科
2大阪医科大学整形外科学教室
3山本整形外科医院
4大島整形外科医院
5新河端病院整形外科
ページ範囲:P.341 - P.349
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抄録:WisterラットとDonryuラットの妊娠母獣にtrypan blueを投与することにより作製した脊椎脊髄奇形獣に関して検討した.得られた脊椎奇形は比較的画一的なlumbosacral agenesisであった.胎生早期に嚢疱が形成され,これによりneurulationが障害されるためにこの一連の奇形が生じると考えられた.これらのラットの運動麻痺の脊髄レベルは脊椎奇形上限のレベルとほぼ一致し,知覚麻痺のレベルは運動麻痺のレベルより平均4.1髄節下位であり,これは脊髄腰膨大から脊髄円錐にかけての前角の形成不全が,対応する後角のそれより強いためであると考えられた.これらの奇形仔獣のなかに後肢にmirror movementsを示すものが得られ,前部腰髄の形成異常がその原因であると考えられた.後肢麻痺を有するラットの内反足等の変形に関しては,胎生末期の自動運動の欠如がその重要な因子であり,胎生期の予宮内環境により異なった変形が生じるものと考えられた.