特集 主題I:Spinal Dysraphism/主題II:Pedicular Screwing(第19回日本脊椎外科学会より)
主題I:Spinal Dysraphism
脊髄繋留症候群手術に対する術中モニタリング
著者:
四宮謙一1
渕岡道行1
岡本昭彦1
小森博達1
松岡正1
吉田裕俊1
武藤直子1
古屋光太郎1
安藤正夫2
所属機関:
1東京医科歯科大学整形外科
2東京医科歯科大学泌尿器科
ページ範囲:P.369 - P.375
文献購入ページに移動
抄録:腰仙部脊髄繋留症候群に対する手術時には,下肢のみならず膀胱直腸機能をもモニタリングしなければならない.また脊髄繋留症候群の手術では,脊髄あるいは馬尾を,脂肪腫,奇形組織などから剥離,切離する事が主目的となる.このため脊椎矯正手術時などのモニタリング法とは異なり,剥離前にその組織が神経組織を含むか否を診断できなければならない.そこで切離予定部分を電気刺激して,誘発される誘発筋電図を下肢筋群あるいは外肛門括約筋,外尿道括約筋から導出して指標とした.膀胱内圧は刺激に対する反応が遅く,モニタリングとしては難点があるが,外尿道括約筋とは神経支配が異なるためその意味は大きい.誘発筋電図は脊髄円錐部,馬尾,神経根のレベルでは即座に反応するので,大変有効な指標となる.知覚のモニタリングとして手術部位より頭側の脊髄部に記録電極を設置しておけば,脊髄誘発電位が同時に導出でき,更に正確なシステムとなる.