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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科26巻5号

1991年05月発行

文献概要

臨床経験

前腕における“troublesome lipoma”の1症例

著者: 加藤弘文1 西島直城1 瀬戸洋一1 清水宏之1 山本博史1 山室隆夫1 樋口佳代子2

所属機関: 1京都大学医学部整形外科学教室 2京都大学大学附属病院病理部

ページ範囲:P.659 - P.662

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 抄録:前腕部の脂肪腫により橈骨神経深枝麻痺を来した症例に対し手術治療を行った.症例は47歳の女性で,45歳頃,前腕に腫脹感を自覚したが放置していたところ,47歳になり橈骨神経支配筋群に運動障害を認めた.手術所見はarcade of Frohse深部より発生した脂肪腫が橈骨神経深枝を圧迫していた.マイクロ下に摘出を行ったが,完全摘出は困難であった.脂肪腫の圧迫による神経麻痺は稀であり,前腕伸側近位部に生じた症例の報告は本邦では少ない.しかし,外国文献には約30例が認められ,実際には臨床上かなりの数が存在すると考えられる.
 この脂肪腫は文献的には容易に摘出が可能とされているが,我々の経験では,橈骨神経深枝の分枝を巻き込んでおり,完全摘出は困難で,臨床的にtroublesome lipomaと言える.よって,この部位の腫脹を認めた場合,このことを念頭に置き,安易に外来手術を行うべきではない.また,麻痺発生後の期間が長いと成績が悪いため,早期診断が望まれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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