文献詳細
シンポジウム 悪性骨軟部腫瘍への挑戦
文献概要
抄録:速中性子線は,線エネルギー賦与が高い粒子線(高LET)であり,X線と比較して酸素増感比(OER)が低く,細胞の放射線損傷回復を阻害する等の特徴がある.速中性子線はこれまでに,唾液腺癌,パンコースト腫瘍,前立腺癌,骨・軟部肉腫に著効を示すことが分った.
放射線医学総合研究所(放医研)では,1975年11月から速中性子線による治療を始め,1989年までに78例の骨肉腫と105例の軟部肉腫症例が速中性子線治療を受けた.これらの症例のうち,根治放射線治療を受けた骨肉腫39例の局所制御率は86%,5年生存率は51%であった.同様に,軟部肉腫72例について根治照射が行われ,速中性子線単独治療により28.5%の局所制御が得られ,術前照射と術後照射による局所制御率は,それぞれ81.8%,76%であった.軟部肉腫の治療について,速中性子線の術前照射は,機能温存を重視する治療としてすすめられる.
放射線医学総合研究所(放医研)では,1975年11月から速中性子線による治療を始め,1989年までに78例の骨肉腫と105例の軟部肉腫症例が速中性子線治療を受けた.これらの症例のうち,根治放射線治療を受けた骨肉腫39例の局所制御率は86%,5年生存率は51%であった.同様に,軟部肉腫72例について根治照射が行われ,速中性子線単独治療により28.5%の局所制御が得られ,術前照射と術後照射による局所制御率は,それぞれ81.8%,76%であった.軟部肉腫の治療について,速中性子線の術前照射は,機能温存を重視する治療としてすすめられる.
掲載誌情報