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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科26巻7号

1991年07月発行

文献概要

臨床経験

40年前の切創が原因と思われる長母指屈筋腱皮下断裂の1例

著者: 中島秀人1 政田和洋1 大野博史1 下村裕1

所属機関: 1防衛医科大学校整形外科

ページ範囲:P.885 - P.887

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 抄録:約40年前に受傷した切創が原因と思われる長母指屈筋腱皮下断裂の1例を経験した.症例は48歳男性.作業中に旋盤から製品を外そうとした時,右母指を外転強制にて捻転し,以後,IP関節の屈曲不能に気づいた.既往歴として,小学校低学年時に転倒し,右手関節掌尺側に受傷したことがある.入院時現症から長母指屈筋腱皮下断裂および正中神経不全麻痺と診断し,手術を行った.手術時所見では,正中神経が手根管入口部で部分断裂,長母指屈筋腱は完全断裂,また示指深指屈筋腱は不完全断裂を呈していた.切創痕は尺側寄りにあり,40年前の受傷時に両屈筋腱に直接の外傷が加わったとは考えにくく,皮下断裂の原因は,正中神経断裂部周囲の滑膜炎が波及したことにより腱の脆弱化をきたし,さらに長母指屈筋腱についてはその走行の解剖学的特徴により,反復される機械的刺激が加わったためと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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