文献詳細
臨床経験
文献概要
抄録:踵骨骨折による長母趾屈性腱腱鞘炎を経験したので報告する.症例は32歳の男性で,右踵骨骨折後7週頃から右母趾の強制伸展による足関節内踝後方の疹痛を生じた.弾発現象は認めなかった.単純X線像で載距突起の直下に骨棘を認めた.右長母趾屈筋腱腱鞘内に局麻剤を注入すると約1時間症状が消失したがその後再発したので,観血的治療を施行した.長母趾屈筋腱の腱鞘を切開すると,腱には多数の線維方向の断裂を認めた.腱の滑走は骨棘の切除により初めて可能となった.
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