論述
腰椎椎間板ヘルニアのMRIと各種画像診断との比較
著者:
西島雄一郎1
谷口充一1
道下正光1
太田義明1
近藤毅1
利波久雄2
山崎安朗1
東田紀彦1
山本達2
所属機関:
1金沢医科大学整形外科
2金沢医科大学放射線科
ページ範囲:P.229 - P.234
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抄録:MRIが腰椎椎間板ヘルニアの従来の画像診断にとって変わり得るかを検討する目的で,手術で椎間板の病態を確認できたヘルニア例について術前のMRI所見を手術所見と比較し,ヘルニアの有無,高位,局在,形態の各項目の診断精度を従来の画像診断と比較した.術前にMRI,myelography,CTM,Discography,CTDが行われている58例,63椎間を対象にした.ヘルニア診断のMRIの正確度は78%で,他の画像診断と大差はないが,感度は96%と最も高く,特異度は25%と最も低かった.高位が正しく判定できた割合は,MRIでは77%で,CTM,CTDに比べて低かった.MRIのtransaxial像で左右の局在の一致率は55%でCTM,CTDに比べて低かった.
extrusionとprotrusionの鑑別は,MRIでは困難であった.MRIはヘルニア有無のスクリーニング診断には最も適当であるが,高位,手術進入側の決定には他の画像診断が必要で,ヘルニア形態の診断も確実とは言えなかった.