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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科27巻3号

1992年03月発行

文献概要

臨床経験

TKAを施行したアルカプトン尿症性関節症の1例

著者: 福本和生1 葛原啓1 今井亮2 川北苭三3 浦田洋二4

所属機関: 1神戸海岸病院整形外科 2京都第一赤十字病院整形外科 3京都大橋総合病院整形外科 4京都府立医科大学第一病理

ページ範囲:P.297 - P.300

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 抄録:我々は,稀なアルカプトン尿症性関節症の1例にTKAを施行したので,若干の文献的考察を加え,報告する.症例は55歳,男性.両親がいとこ結婚である.幼少時より尿の黒変に気づいていた.40歳頃より両膝関節痛を自覚するようになり徐々に悪化,歩行困難となり入院した.各種検査にてアルカプトン尿症と診断し,疼痛の強い左膝に対して平成元年6月TKAを施行した.
 我々は,病理組織学的所見および生化学的根拠より,本症における軟骨破壊のinitial stepは軟骨基質障害と考えられるよりもむしろ軟骨細胞障害であると考えた.すなわち,メラニン様色素は,主に軟骨細胞内で酵素反応により産生され,cell deathとともに軟骨基質に放出され,コラーゲンにtightに結合し,そのため軟骨基質の正常な代謝が二次的に障害され,易損性となり,さらに脱落した軟骨片がmacrophageを介して炎症反応を助長し,変形性関節症に進行する可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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