特集 主題・腰部脊柱管狭窄症/パネルI・脊椎転移性腫瘍の手術的治療/パネルII・脊椎脊髄MRI診断(第20回日本脊椎外科学会より)
主題 腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症の黄色靱帯―その病態とenthesisにおける変化
著者:
吉田宗人1
島欽也1
船岡信彦1
谷口泰徳1
池田芳樹1
田中智之2
楠本幸弘3
玉置哲也3
所属機関:
1社会保険紀南綜合病院整形外科
2社会保険紀南綜合病院病理
3和歌山県立医科大学整形外科
ページ範囲:P.333 - P.342
文献購入ページに移動
抄録:腰部脊柱管狭窄症の45手術症例を対象とて,enthesisを含めて黄色靱帯と上関節突起内側約1/3を一塊として摘出し,病理組織学的染色と,型特異ヒト抗コラーゲンモノクローナル抗体type I~VIを用いた免疫組織化学的染色にてコラーゲンの変化について検索を行った.またCTscanを用いて椎間関節高位で脊柱管面積,黄色靱帯の面積と厚さを測定した.その結果,骨性脊柱管自体の狭小も当然認められたが,黄色靱帯の面積と厚さも対照に比べて有意に増加(P<0.01)していた.また靱帯肥厚例は,靱帯骨化,カルシウム結晶沈着,そして線維性軟骨化即ちtype IIコラーゲンの増加したものの3群に大別された.Capsuiar portionではenthesisより靱帯側へのtype IIコラーゲンの著明な増加を認めたが,この変化は内軟骨性骨化により上関節突起黄色靱帯付着部の肥厚増殖につながるだけでなく,lateral recessの狭小をもたらし直接神経の圧迫を起こし得ると考えられた.