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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科27巻4号

1992年04月発行

文献概要

特集 主題・腰部脊柱管狭窄症/パネルI・脊椎転移性腫瘍の手術的治療/パネルII・脊椎脊髄MRI診断(第20回日本脊椎外科学会より) 一般演題

神経根結紮が脊髄血流に及ぼす影響について

著者: 藤原康洋1 吉沢英造1 小林茂1 柴山通1 鵜飼高弘1 中川雅人1 山田光子1

所属機関: 1藤田保健衛生大学整形外科

ページ範囲:P.513 - P.519

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 抄録:胸腰移行部脊柱靱帯骨化や腫瘍の後方侵入脊髄前方除圧が多椎間に及ぶ際には神経根伴走血管の損傷を介する脊髄障害の発生が危惧されている.そこで我々は雑種成犬を用い,胸腰移行部硬膜外神経根を伴走血管を含めて一側複数根結紮し,脊髄血流に及ぼす影響を電解式水素クリアランス法により観察した.なお,解析に当っては実験終了後にmicroangiographyを施行して根脊髄動脈の位置を確認し,更に根動脈形態の詳細を走査電顕により明らかにした.T10からL2にわたり,右側神経根を伴走血管とともに上位より順次結紮していくと,根脊髄動脈が伴走する神経根を結紮した時のみ脊髄血流量は15~20%低下し,神経根栄養動脈の結紮に際しては何ら変化を生じなかった.根脊髄動脈結紮に伴う脊髄血流量の低下は,髄液停帯あるいは排除に伴う血流低下と大差なく,少くとも正常脊髄にとっては麻痺を生じないものと思われる.この結果は病巣摘出に際しての一側複数神経根切離の可能性を示唆するものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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