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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科27巻5号

1992年05月発行

雑誌目次

視座

大腿骨頸部骨折の分類

著者: 那須亨二

ページ範囲:P.547 - P.547

 臨床医にとって骨折の分類は系統的かつ簡明で,具体的な治療指針を与え,出来れば予後をも示すものが望ましい.系統的大局的に見ると,大腿骨頸部骨折の主流は,老人性または閉経性の骨萎縮を基盤とし,転ぶなどの些細な外傷で高齢者に多発する老人骨折である.典型的なものは,包内では必ず骨頭下骨折,包外では転子間骨折としてみられる.その他のレベルの頸中間,頸基部,転子下などの骨折は,すべて大きな外力で青壮年者に発生する比較的数の少ない骨折である.
 まず,この老人型と青壮年型の両者を区別することにより,大腿骨上端部骨折の分類をより系統的にしうると同時に,大切な老人骨折の分類を簡明かつ純粋化することができる.もちろん,青壮年者にも骨頭下骨折,転子間骨折が見られるが,年齢とか骨折型により容易に区別しうる.また逆に,老人でも特に男性の場合,青壮年に準じた骨折を生じうるが,これらは非典型的老人型として分類する.包内の典型的老人型骨頭下骨折に対してはGarden分類は優れており,修正の必要はない.

論述

膝蓋骨亜脱臼症候群における非手術例の長期予後

著者: 石田博英 ,   安田和則 ,   青木喜満 ,   金田清志

ページ範囲:P.548 - P.554

 抄録:膝蓋骨亜脱臼症候群非手術例の長期予後について調査した.症例は37人で男性が6人,女性が31人,初診時年齢は13~39歳,平均20.8歳であり,経過観察期間は4年~11年9ヵ月,平均6年8ヵ月であった.臨床症状に関しては,75.7%の症例で疼痛が残存していたが,日常生活に支障を来たすような疼痛を有している患者は1人のみで,調査時に当科あるいは他医で加療中の患者は2人しか存在しなかった.さらに78.4%の症例では,調査時に疼痛の改善を自覚していた.疼痛改善例は不変例と比較して若い年齢層に見られた.X線学的評価では,膝蓋-大腿関節の適合性の変化に一定の傾向は見られなかった.疼痛の変化と膝蓋-大腿関節の適合性の変化の関連性を見ると,疼痛不変例において膝蓋-大腿関節の不適合性が増加する症例が多かった.一方,疼痛改善例においては膝蓋-大腿関節の適合性は,ほとんど変化しないかあるいは改善を示し,両群間には有意差が見られた.

舟状月状骨靱帯の手関節鏡による観察

著者: 西川真史 ,   一柳一朗 ,   松本哲夫 ,   黒川智子 ,   原田征行 ,   藤哲

ページ範囲:P.555 - P.559

 抄録:手関節鏡視における舟状月状骨靱帯(SLと略す)の所見について観察し,さらに遺体手関節を解剖してSLの形態について検討した.
 対象は手関節鏡視したSLの正常例と異常例および,51遺体87手関節であり,それらの肉眼解剖結果を検討した.

シンポジウム ペルテス病の長期予後

成人期に達したペルテス病症例の検討

著者: 亀ケ谷真琴 ,   篠原裕治 ,   守屋秀繁 ,   秋田徹 ,   染屋政幸 ,   品田良之 ,   土屋恵一

ページ範囲:P.561 - P.566

 抄録:ペルテス病症例のうち成人期(18歳以上)まで観察し得た26例32関節について,X線学的・臨床的に検討し,骨頭の変形度と臨床症状の関連について述べる.男24例30関節,女2例2関節で全例保存的にThomas型(下肢中間位免荷型)にて治療した.X線学的にはStulbergの分類と,Acetabular Head Index(AHI),Mose法,Acetabular Roof Angle(ARA),Articulo Trochanteric Distance(ATD)の4項目を用い,臨床的には日整会変股症判定基準を用いて検討した.
 その結果では,32関節中11関節(34.4%)に何らかの症状が見られ,それらはすべて不良群としたStulberg分類のIII・IV・V型に含まれていた.しかし,IV型とV型の2例を除いては現在のところ日常生活に支障はなかった.また,症状の有無とX線上での計測との関連では,Mose法がよく相関しており,骨頭の扁平化の強いIV型が最も予後不良であった.

Bone maturityまでfollowしたペルテス病の成績

著者: 廣橋賢次 ,   阪本邦雄 ,   町井義和 ,   北野利夫 ,   島津晃

ページ範囲:P.567 - P.577

 抄録:年齢が18歳以上の症例について,保存療法例(Tachdjianの外転免荷装具による)40例44関節(group 1)と関節外での外科的処置(内反骨切り術またはSalter手術)を行った20例20関節(group 2)について変形性股関節症(変股症)との関連において検討した.病型分類はわれわれの分類表を,その後の骨頭・頸部の形態に関してはわれわれの分類とStulbergのものを用いた.
 その結果,外科的に対応したものが必ずしも治癒期間を短縮しておらず,また形態学的にも良好な成績を得ているとは言い難い,さらに,group 1では3例4関節(女2例)が,group 2では2例2関節(女1例)がはや初期または進行期の変股症の変化を示していた.
 また,本症の100%が変股症に移行するとの報告から,その原因について罹病期の関節軟骨の損傷が重要な役割を果たしているのではないかと,先天性股関節脱臼(以下先股脱)症例の変化をもとに推論した.

ペルテス病の成人期X線像と臨床像―18歳以上の検討

著者: 藤岡文夫 ,   寺山和雄 ,   内山茂晴 ,   赤津昇

ページ範囲:P.579 - P.585

 抄録:ペルテス病の長期治療成績を調べるため,1957年以降当科で治療した130名のペルテス病患者のうち,18歳以上で直接検診し得た34症例と著者自身1症例の35症例39関節のX線像と臨床像を検討した,Stulberg分類はI,II型13例,III型19例,IV型4例,V型1例で,aspherical congruency(III,IV型)が64%であった.関節症変化は3例7.6%に認められた.変形性股関節症判定基準をみると,総合点は平均94.5点で,疼痛項は平均36.4点であった.疼痛が30点と判定されたものは11関節28%であり,10点は1関節であった.歩行能力,可動域,日常生活動作は良く保たれていたが,aspherical congruency群はspherical congruency群に比し総合点,疼痛点が低かった.遠隔成績再調査例をみると,20歳代,30歳代でも主に疼痛の出現による臨床像の悪化があり,また筆者の経験からも,aspherical congruency群の臨床像が必ずしも長期にわたり良好に保たれるとは限らない.

当科におけるペルテス病の術後長期成績

著者: 五十嵐純夫 ,   松野丈夫 ,   金田清志

ページ範囲:P.587 - P.594

 抄録:当科において手術療法を施行したペルテス病のうち,現在18歳以上に達している43例43関節に対し検討を加えた.手術法は内反骨切り術24例,ソルター骨盤骨切り術19例で,いずれもcontainmentの概念に基づいて施行した.今回同じ概念の下に行われた2つの手術を,予後に影響を与える諸因子とともに比較検討した.全症例の成績はgood,およびfairが74.4%を占めており,両手術群に優位差は認めなかった.予後は発症時年齢,壊死範囲により大きく左右された.術直後acetabulum-head index(AHI)と成績は内反骨切り術群では相関がみられたが,ソルター骨盤骨切り術群では相関がみられず,高いAHIが得られていてもpoorとなった例が多かった.年長児において過度のAHIをソルター骨盤骨切り術で得るのは危険性が高く,内反骨切り術の方が安全で優れた術式であると考えられた.

ペルテス病起因の二次性股関節症に見られる臼蓋変化の特徴

著者: 高橋克郎 ,   岩崎勝郎

ページ範囲:P.595 - P.599

 抄録:ペルテス病起因の変形性股関節症の病態を明らかにするために33例35股を対象にして本症の臼蓋にみられるX線学的形態変化や変性所見の特徴,さらに,これらと年齢,骨頭形態,臨床症状との関連を調べた,本症では扁平巨大化した骨頭形態に応じて臼蓋はより外側に張り出してくるが,臼自体は浅くなり,骨頭巨大化のため相対的な臼蓋形成不全を呈していた.また,臼蓋部の変性所見は荷重ストレスの集中する臼蓋外側を中心に発生し,骨頭の外側偏位が加味されて変性がさらに進行するものと思われた.本症の初期には関節裂隙がむしろ拡大している例も見られるものの,30代以降に関節裂隙が狭小化し,これと相前後して臨床症状が増悪すること,また,臼蓋外側を中心に変性過程が進行してゆくことが推察された.

modified A-cast法によるペルテス病の治療成績

著者: 田村清 ,   大寺和満 ,   高矢康幸 ,   池田登 ,   藤原正利 ,   二見徹 ,   片山武史 ,   小林雅彦 ,   秋山治彦 ,   武富雅則

ページ範囲:P.601 - P.607

 抄録:Petrie法を改良し,取り外し可能の2本のcrossbarで大腿ギプスを連結したmodified A-cast法を考按し,ペルテス病を治療した.治療開始して10年以上経過してbone maturityに達した症例の成績を検討した.
 成績判定はX線所見からStulbergのclass判定法と,Mose法,ATD,radius quotient,CE角を計測する10点法にて行った.

手術手技シリーズ 関節の手術<下肢>

足根管症候群の解離術

著者: 山本晴康

ページ範囲:P.609 - P.612

 足根管症候群は足部の足根管において後脛骨神経が種々の原因により絞拒されて生ずる絞扼性神経障害である.本邦における報告は少ないが,電気的診断法の進歩1)に伴い次第に増加している3,4,7,9~13).本稿では,足根管の解剖,足根管症候群の原因,症状,診断,観血的治療について言及する.

整形外科を育てた人達 第103回

Jacques-Malthiu Delpech(1777-1832)

著者: 天児民和

ページ範囲:P.614 - P.616

 OrthopaedieはNicolas Andry(1658-1742)が最初にL'Orthopedieの著書を1741年に出版して,始まったとされているが,1828年にJacques-Malthieu DelpechがDe L'Orthomorphieと題した著書を出版している.そこで,Delpechはいかなる人であったか紹介することに決めた.

臨床経験

大腿骨に発生した骨膜性骨肉腫の1例

著者: 溝渕弘夫 ,   石田健司 ,   三好信也 ,   近藤誠 ,   山本博司 ,   園部宏 ,   貞広哲郎

ページ範囲:P.617 - P.620

 抄録:22歳男性の右大腿骨近位部に原発した骨膜性骨肉腫の1例を報告した.肉眼的に,病変の主体は骨膜から周囲軟部組織に浸潤性に増殖する16×11×9cm大の腫瘍であったが,病変部骨髄内のごく一部に小結節性軟骨病巣の集簇よりなる“髄内病変”を伴っていた.しかし,明らかな骨皮質の破壊はなかった.組織学的には,主病変は,異型軟骨組織の分葉~島状増殖を主体とし,一部に類骨を形成する未分化な紡錘型細胞巣を伴っていた.また,“髄内病変”も基本的にはこれと同様であった.以上の所見から本症例を骨髄内に発生した軟骨芽細胞型骨肉腫の骨外進展とは考え難く,骨表面に発生した骨膜性骨肉腫が髄内浸潤したものと考えた.“髄内病変”の除外を骨膜性骨肉腫の診断基準とする見解もあるが,“髄内病変”の有無はむしろ病期を反映するものであり,この型の骨肉腫の診断にとって本質的なものではないと考える.

原発性上皮小体機能亢進症に両側大腿骨頸部骨折を合併した1例

著者: 矢野順治 ,   長谷川幸治 ,   木俣一郎 ,   荒尾和彦 ,   船橋啓臣 ,   坂賢二

ページ範囲:P.621 - P.624

 抄録:症例は55歳,女性.腰痛,両股関節痛を主訴に来院した.股関節可動域は,外転のみ右5°,左10°と制限されていた.両股関節X線像では,両大腿骨頸部内反変形および骨折が見られた.両手X線像では,骨膜下吸収像がみられ,骨皮質は菲薄化していた.血液生化学所見では,血清Ca値の上昇とP値の低下,血清PTHの高値を示した.頸部CT像で甲状腺左葉後方に結節性病変があり,原発性上皮小体機能亢進症と診断,左上上皮小体摘出術,および両大腿骨頸部骨折に対し早期離床を目的としてcannulated hip screwによる骨接合術を行った.術後,血清Ca値,P値,血清PTHは正常範囲となった.術後7ヵ月,腰痛,股関節痛は軽快し,X線像では,骨癒合がみられ,骨梁の増加があった.

PDSピンの使用経験

著者: 浦部忠久 ,   高山真一郎 ,   飯島謹之助 ,   田崎憲一 ,   佐々木孝 ,   堀内行雄 ,   伊藤恵康 ,   内西兼一郎 ,   矢部裕

ページ範囲:P.625 - P.628

 抄録:整形外科領域における内固定材料としては,従来,Kirschner wireやscrewなどが用いられてきたが,これらは骨癒合後抜去する必要がある.これに対してPDSピンは徐々に吸収される性質を持つため抜釘は不要で,関節軟骨面からも刺入可能である.本ピンを30症例に使用し,全例に骨癒合が得られた.21例で軟骨面からの刺入が行われており,2本以上のピンを使用することが可能な大きさの骨軟骨片の固定性は良好であった.
 適応を選んで用いれば,PDSピンは骨軟骨骨折の固定にきわめて有効な手段となりうることが示唆された.

膝関節前方に骨折片が転位した脛骨外顆骨軟骨骨折の1例

著者: 木下誠司 ,   鷲見正敏 ,   片岡治 ,   庄智夫

ページ範囲:P.629 - P.633

 抄録:症例は,19歳,男性.バイク運転中に転倒して受傷した.左膝関節痛・腫脹・膝蓋跳動が著明であり,膝窩部に圧痛を認めた.単純・断層X線上顆問窩前方の骨引片と,その母床と考えられる骨欠損像を脛骨外顆後方に認めた.腰麻下では外反動揺性を認め,Lachman testは陰性であったが,pivot shift testは陽性であった.手術において,前十字靱帯・外側半月板損傷を伴っていることを確認し,摘出した骨折片を後方より整復固定した.膝関節周辺部の骨折では,同時に靱帯損傷を合併することが多いが,本例のように前十字靱帯損傷を伴う脛骨外顆骨軟骨骨折および骨折片の前方転位を伴った報告はみられなかった.受傷機転に関しては,骨折片の前方転位を伴っているため,本症例では脛骨の内旋・前方亜脱臼が生じ,整復時に大腿骨外顆が脛骨外顆後方に衝突して,骨軟骨骨折および骨折片の前方転位を起こしたと考えられる.

変形性関節症に合併した骨内ガングリオンの2例

著者: 鈴木裕彦 ,   真鍋等 ,   佐藤明

ページ範囲:P.635 - P.638

 抄録:変形性関節症に合併した骨内ガングリオンの2例を報告する.症例1は55歳の女性.右足関節痛を主訴として来院した.X線にて足関節の関節症性変化および脛骨遠位端の骨透亮像を認めた.同部の掻爬,骨移植を施行した.病巣はゼリー状の液体を含む嚢腫であり,病理所見と合わせ骨内ガングリオンと診断した.症例2は67歳の男性.右膝関節痛を主訴として来院した.X線にて膝関節の関節症性変化および大腿骨内顆の骨透亮像を認めた.また,関節内に多数の骨軟骨腫を認めた.人工関節置換術を施行した.術中,病理所見は症例1と同様であり,骨内ガングリオンと診断した.
 骨内ガングリオンは比較的稀な疾患である.本症は特異的所見に乏しく,鑑別診断が重要である.本症例では,ともに変形性関節症に合併しており,特に関節症性骨嚢腫との鑑別が重要であった.

先天性両側多発性指伸筋腱脱臼の1例

著者: 及川久之 ,   龍順之助 ,   木内哲也 ,   田中潔 ,   松本不二生 ,   鳥山貞宜

ページ範囲:P.639 - P.641

 抄録:我々は極めて稀な先天性両側多発性指伸筋腱脱臼の1例を経験したので報告する.患者は14歳男性.主訴は両手指の伸展障害.10歳の頃,左中指の伸展障害が出現.以後,両側母,中,環,小指の伸展障害も時々出現した.当科初診時,MP関節90°屈曲位で両側とも母,中,環指伸筋腱は尺側へ,小指伸筋腱は,橈側へ脱臼するのを認めた.治療は両側母,中,環,小指MP関節の腱形成術を津下法(expansion hoodの縫縮術)に準じて施行した.指伸筋腱脱臼の分類は外傷性,先天性,退行性の3型(McCayら)に分けられ,おもにRAによるものが多い.指伸筋腱の先天性脱臼の報告は少なく,特に両側多発性の報告は極めて稀である,今回の症例では,10歳の頃より脱臼がみられること,外傷の既往がないこと,両側多発性であること,術中所見よりexpansion hoodの弛緩がみられることより先天性と考えた.術後1年8ヵ月の現在,経過良好で再脱臼はみられていない.

骨原発性平滑筋肉腫―1例報告と文献的考察

著者: 蛭田啓之 ,   亀田典章 ,   羽鳥努 ,   秋間道夫 ,   野中博子 ,   土谷一晃 ,   高橋寛 ,   茂手木三男

ページ範囲:P.643 - P.647

 抄録:33歳,男性の右上腕骨近位部に発生した骨原発性平滑筋肉腫を報告した,単純X線所見では,骨幹端部から骨幹部にかけて境界不明瞭な虫食い状の溶骨像を示し,血管造影所見では軽度の血管増生を認めた.組織学的には,好酸性の胞体と葉巻状の濃染核を有する長紡錘形細胞が束状,錯走性に増殖していた,免疫組織学的にはactinおよびdesminが陽性であった.電顕的には,胞体内にdense patchを伴ったmyofilamentが豊富で,pinocytotic vesicleやbasement membraneも認められ,平滑筋細胞に類似していた.本症の診断は消化管や子宮からの転移を否定することが第一条件である.組織診断は免疫組織や電顕を用いればそれほど困難ではないが,通常の光顕では線維肉腫,悪性線維性組織球腫や線維芽細胞型骨肉腫などとの鑑別が必要である.本症は非常に稀で,今回の1例を含め内外に45例の報告を見るにすぎない.

舟状骨亜脱臼を伴った陳旧性第2,3手根中手関節背側脱臼の1例

著者: 大村喜久雄 ,   藤田資文 ,   福田眞輔 ,   斎藤潤 ,   駒井理

ページ範囲:P.649 - P.653

 抄録:比較的稀とされる舟状骨亜脱臼を伴った第2,3CM関節背側脱臼を経験したので報告する.
 症例は33歳,男性である.平成2年8月19日,オートバイで自動車に衝突し受傷した.近医にて安静を指示されるも左手関節の可動域制限が改善せず当科を受診した.左手背側に骨性隆起を認め,CM関節の圧痛が見られた.X線上,第2,3CM関節の背側脱臼,及び舟状骨掌側亜脱臼を認め,同年9月27日観血的整復固定術を施行した.陳臼例であったためCM関節固定術を行いK-wire固定を行った.scapholunate ligamentは認められず靱帯再建術を追加した.術後4ヵ月の現在,2,3CM関節,舟状骨は解剖学的整復位にあり,疼痛は消失したが可動域障害は残存した.

脛骨骨内ガングリオンの1例

著者: 尾崎智史 ,   原田敦

ページ範囲:P.655 - P.657

 抄録:68歳男性の脛骨近位端に発生した嚢腫様病変に対して手術を行ったところ,病理組織像より骨内ガングリオンと診断された.MRIでは遠位に,骨内ガングリオンと連続して広がる虫喰い様の異常像を認めた.骨内ガングリオンの病態の解明にMRIの有用性が期待される.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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