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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科27巻6号

1992年06月発行

文献概要

臨床経験

肥厚性脊髄硬膜炎により脊髄横断麻痺を呈した1症例

著者: 藤本啓治1 濱田彰1 浅田雄一1 日下部育男1 藤原正富1 菅俊光1 泉春暁2

所属機関: 1関西医科大学付属香里病院整形外科 2関西医科大学付属香里病院中検病理

ページ範囲:P.743 - P.746

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 抄録:胸椎部に発生し脊髄横断麻痺を呈し肥厚硬膜切除,および人工硬膜充填にて軽快した症例を経験したので報告する.症例は69歳の女性.両下肢の放散痛及び歩行障害を主訴に当科受診.ミエログラフィー,MRI,ミエロ後CTにて第1胸椎高位から第7胸椎高位までブロック像を呈し,入院精査中,痙性不全麻痺への進行が見られたため脊髄腫瘍を疑い,第1胸椎から第10胸椎まで全椎弓切除術,硬膜切除術,および人工硬膜充墳術を施行した.硬膜の肥厚は著明で特に第4胸椎高位から第6胸椎高位では著しく約8mmの厚さを有していた.組織学的には膠原繊維の増生と硝子様化した所見,およびリンパ球,プラズマの浸潤を伴った肉芽腫様の所見を認め,慢性炎症による硬膜の肥厚所見(pachymeningitis)と診断された.術直後より自覚的な下肢のしびれ感,知覚鈍麻,下肢筋力は改善し,術後10カ月で術前の麻痺症状は全く消失し,独歩可能で日常生活においても支障はない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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