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臨床経験
I-cell病(mucolipidosis II)の1例
著者: 二井英二1 小保方浩一1 原親弘1 藤澤幸三2 山崎征治3 中野千鶴子4
所属機関: 1三重県立草の実学園整形外科 2鈴鹿回生病院整形外科 3上野総合市民病院整形外科 4国立療養所鈴鹿病院小児科
ページ範囲:P.763 - P.766
文献購入ページに移動I-cell病は,酸性水解酵素のリン酸化障害によって,リソゾーム内への酵素の取り込みが低下し,体液中での酵素活性の上昇を認めることを特徴とする常染色体劣性遺伝疾患である.臨床的には,ムコ多糖症であるHurler症候群に酷似しているが,尿中へのムコ多糖の排泄増加がみられず,ムコ多糖症に比較して症状発現が早く,進行も急激である.
本症の病因は,UDP-Nアセチルグルコサミン-1-ボスホトランスフェラーゼの活性の低下が一次障害であると考えられている.
診断は,理学所見,X線所見などの臨床所見により可能であるが,確定診断には,酸性水解酵素の培養皮膚線維芽細胞中での活性低下,血清,尿,髄液など体液中での活性上昇を証明することが必要である.
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