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整形外科と組織移植
著者: 玉井進1
所属機関: 1奈良県立医科大学整形外科
ページ範囲:P.877 - P.877
文献購入ページに移動このところ,肝移植成功のニュースとそれに伴う脳死問題に刺激されて,整形外科領域でも同種組織移植に対する関心が急速にたかまってきたようである.すでに日整会においても移植問題等検討委員会が発足しており,「移植に関するガイドライン」なるものが示されている.死体の骨を採取して移植に用いることは,昭和29年にすでに「法的には問題なし」とされていたらしく,十分なインフォームド・コンセントが得られておれば,骨の同種移植は全く問題なく実施してよいとのことである.それに伴い,骨に限らず各種組織,例えば,関節,靱帯,筋肉,腱,神経,皮膚,そしてこれら種々の組み合わせによる血管柄付複合組織移植,例えば,骨皮弁,筋皮弁,あるいは手,足,指,趾などの移植もそろそろ実現可能な状況になってきたといえる.勿論,これらを実現させるためには,ドナーの選択,組織保存法や免疫抑制法などの問題が山積しているが,少なくとも心臓や肝臓などのように,是が非でも脳死者からの組織でなければということは少ない点で,実現し易いかもしれない.
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