icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科27巻8号

1992年08月発行

文献概要

論述

社会生活的予後からみた特発性側彎症の長期治療成績

著者: 松永俊二1 洒匂崇1 吉国長利1 川内義久1 井尻幸成1 石堂康弘1 野添新一2

所属機関: 1鹿児島大学医学部整形外科 2鹿児島大学医学部第一内科

ページ範囲:P.887 - P.893

文献購入ページに移動
 抄緑:特発性側彎症の治療上,患者の社会的生活上の予後を詳しく知ることが重要であると考え長期的追跡調査を行った.対象は10年以上経過を観察することができ,かつ現在20歳以上の成人に達した計47名(保存療法33例,手術的治療14例)であり,平均14.3年の長期追跡により側彎の進行と社会生活上の予後を調査した.側彎の進行については,保存症例で初診時骨年齢16歳未満かRisser IV型以下の症例18例中11例(61%)で,5°以上の進行が認められた.腰痛や背部痛は保存例の52%,手術症例の21%にみられた.結婚について,本症のため結婚に支障があったと答えたものは79%であり,同年代での鹿児島県成人女子の有配偶者率に比べ有意に低かった.また,90%の症例で本症による心理的負担が関与していた.今後の治療に際しては,変形の矯正のみにとらわれず,患者の環境や社会生活上の予後まで十分に考慮に入れた治療方針が必要であると思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら