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抄録:先天性頸椎癒合症は比較的よく見られる頸椎奇形であるが,神経症状を伴うものは少ない,本症のうち頸髄症,頸部神経根症を伴うものについて病態と治療を検討した.対象は最近3年間に当科で加療した7例で,男性6例,女性1例,年齢は34~71歳で平均年齢は51歳であった.画像診断は各種施行し,とくにMRIは全例に行い,臨床症状との相関を検討した.4例は保存的に,3例は観血的に治療した.日整会スコアによる7例の平均改善率は50%であった.MRIでは癒合椎の上下椎間で脊髄の圧迫が高頻度に認められた.脊柱管狭窄を合併するものは神経症状が比較的高度であった.本症は,他の先天奇形,頸椎管狭窄,および癒合椎の隣接椎間での不安定性などの合併頻度が高く,頸髄症や神経根症を惹起する危険性が高いことが示唆された.
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