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巻頭言
第66回日本整形外科学会学術集会を開催するに当たって
著者: 小野啓郎1
所属機関: 1大阪大学医学部整形外科
ページ範囲:P.1 - P.3
文献購入ページに移動外科領域で,いま一番面白いのが整形外科だといいます.そのせいでしょう,毎年,学会へ加入する若い医師がおびただしい数にのぼるのは.
何が面白いのか?それは学問と技術の相互加速がこの分野で,近年,際立っているからではないでしょうか.骨接合や人工関節と生体力学;移植あるいは再接着と臓器再生・制御論;患肢温存手術と腫瘍医学などなど.例えば,力学環境と骨修復の研究テーマは競合する各種の骨接合術が火をつけました.関節軟骨の物理化学や潤滑理論は入工関節の副産物ではなかったでしょうか.相互加速のめざましい成果が骨肉腫の患肢温存だという意見に反対はありますまい.抗癌剤の進歩だけではない,手だれのメスさばきだけでもない,文字通り集学的治療の実りが誰の目にも明らかです.しかも,この成果はより理想に近い人工関節の開発をさらに促す動機となりました.理論が先行したのではなく,革新的技術や予測を超える成功例が基礎研究を先導したように見えます.この種の事例が整形外科の臨床現場には決して少なくない,そこがたまらなく魅力的なのでしょうか.たぐい稀な洞察力があったとはいえ,Charnleyのケースがそうだったといえそうです.microsurgery,arthroscopic surgeryあるいはinstrumentation surgeryいずれもがこの技術と医学の双方向加速を秘めているとみていいでしょう.
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