臨床整形外科28巻1号

1993年01月発行

調査報告

稚内市における大腿骨頸部骨折の疫学的調査―1970年代後半と1980年代後半との比較

著者： 保田雅憲¹ 向和男¹ 松坂成行¹ 研谷智¹ 安藤御史² 後藤英司²

所属機関： ¹市立稚内病院整形外科 ²旭川医科大学整形外科

ページ範囲：P.71 - P.74

　抄録：北日本における一地域での大腿骨頸部骨折の発生率の推移を調べるため，稚内市での発生率の変化を検討した．1986年から1990年に稚内市内で発生した50歳以上の大腿骨頸部骨折を疫学的に調査した．5年間で89例の骨折が発生し，1990年度の国勢調査の数値を基に人口10万人対発生率を算出すると36.9人で，標準人口10万人あたりでは40.5人であった．1976年から1980年の稚内市における調査では，人口10万人あたり14.9人，標準人口10万人あたり24.7人であったことから，この10年間に発生率が約1.6倍に増加した．骨粗鬆症患者の増加に伴い，日本でも今後大腿骨頸部骨折が激増することが予想される．