文献詳細
臨床経験
文献概要
抄録:重度の精神遅滞のため施設入所中の38歳女性が,左環指MP関節の変形を主訴に来院した.X線写真にてMP関節の掌側脱臼を認めた.受傷日時,受傷機転は不詳だが,手術時に基節骨基部と中手骨頭問に掌側板の嵌頓を認め,MP関節の過伸展によるものと思われた.掌側板を切除し脱臼を整復したが,術後,ギプス内で再脱臼をきたしたため,再手術により長掌筋腱を用いて両側の側副靱帯を再建した.再手術後の脱臼は見られないが,関節症変化が進行している.MP関節の掌側脱臼には過伸展型の損傷と過屈曲型の損傷の2つのメカニズムが推定されているが,いずれの場合も側副靱帯の損傷を高頻度に伴うと思われ,整復時にはMP関節の安定性に重要な側副靱帯の修復・再建が必須と考える.
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