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稀な結核症の2例―足趾骨結核と手部結核性腱鞘炎
著者: 辻正二12 熊野潔1 高見博1 平林茂1 小川裕1 青田洋一1 泉康次郎1
所属機関: 1関東労災病院整形外科 2現:信原病院整形外科
ページ範囲:P.1405 - P.1408
文献購入ページに移動症例1は25歳のバングラデシュ人の男性で,左第3足趾基節骨の結核である.骨髄炎の診断にて骨幹部の徹底的な病巣郭清の後,腸骨移植を行い,鋼線固定を行った.切除標本の病理組織像と細菌培養とから結核と診断された.またナイアシンテストも陽性であった.術後1年5ヵ月目に第3足趾の槌指変形に対してHerbert screwを用いた近位指節間関節固定術を行った.症例2は57歳の韓国人女性で,右母指基部と手関節部の結核性腱鞘炎である.CTとMRIとが病巣範囲の診断に有用であった.可及的に病巣を郭清した.2例とも炎症は完全に治癒し,機能障害は残していない.最近では在日外国人の結核が増加しているため,同様な病態に対しては,結核の可能性を常に考慮しておく必要がある.
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