文献詳細
特集 痛みをとらえる(第21回日本脊椎外科学会より)
主題 特異病態
文献概要
抄録:コンパートメントとしての腰椎背筋群の解剖,生理学的検討と腰椎背筋群のコンパートメント内圧上昇と腰痛との関係についての臨床的検討を行った.コンパートメント内の多裂筋と脊柱起立筋の構成は腰椎高位により異なっていた.胸腰筋膜の背側に分布する血管は棘間より髄節性に左右対称性に分布していた.腰椎背筋群のコンパートメント内圧は,後彎角の増加に伴い比例的に増加した.その変化は多裂筋部と脊柱起立筋部で差はなかった.各種腰痛疾患における姿勢や荷重負荷による筋内圧変化は各疾患に特徴的なパターンが認められた.腰痛出現時の筋内圧波形は漸増型,平坦型,漸減型,無反応型の4型に分類できた.運動時コンパートメント症候群の筋内圧波形は,漸増型か平坦型の波形を示していた.原因不明の慢性腰痛を訴える症例には腰椎背筋群の運動時コンパートメント症候群の可能性を念頭に入れて精査すべきである.
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