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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科28巻4号

1993年04月発行

文献概要

特集 痛みをとらえる(第21回日本脊椎外科学会より) 主題 痛みの基礎的研究

圧迫性神経根障害の病態について―急性圧迫に伴う痛覚伝達物質の分布および変化

著者: 小林茂1 吉沢英造1 鵜飼高弘1 中川雅人1 山田光子1 森田知史1 蜂谷裕道1 中井定明1

所属機関: 1藤田保健衛生大学整形外科

ページ範囲:P.453 - P.468

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 抄録:腰仙部神経根症状を呈する疾患の病態については未だ不明な点が多く,機械的圧迫による根内の循環障害や神経線維の変形(軸索流の停滞)が深く関与していると考えられている.今回我々は,イヌの腰神経根に圧迫力の異なる4種類のクリップを用いて急性圧迫を加え,温痛覚に関与すると考えられているサブスタンスP(SP)・カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)・ソマトスタチン(SOM),また,痛覚の伝達抑制に関与すると考えられているエンケファリン(ENK)・セロトニン(5-HT)を用いて軸索流の変化を,また,Evans blue albumin(EBA)を静注し,神経根圧迫部の根内血管の透過性の変化を観察し,腰痛や坐骨神経痛の発現機序について検討を行った.その結果,神経根圧迫1週間後には著明な根内浮腫像がみられ,一次性求心性線維内の軸索流(SP・CGRP・SOM・ENK・5-HT)の障害が圧迫部でみられ,SP・CGRP・SOMではその線維の細胞(後根神経節)や終末部(脊髄後角)にまで及んでいた.この事実は,腰部椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの圧迫性神経根障害でみられる根性疼痛や知覚障害の発現に神経伝達物質の動態が深く関与することを示している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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