文献詳細
臨床経験
文献概要
抄録:腰椎に急性発症し自然治癒した脊髄硬膜外血腫の1例を経験し,MRIによる経時的観察を行い得た.症例は49歳の男性で,突然の激烈な腰痛と右殿部から右大腿部外側への根性放散痛にて発症し,疼痛のため14日間の臥床を要した.発症後20日目に右下肢の不完全運動麻痺に気付いたが,発症後60日目には自然回復した.診断はMRIにより行い,L2からL3の硬膜外背側に血腫が認められ,症状の回復とともに経時的な血腫の消失も確認された.本症例は,腰椎部で小範囲に限局した血腫であったため馬尾神経への圧迫が少なく,神経根障害にとどまり,自然治癒の経過をたどったと思われる.脊髄硬膜外血腫の診断にMRIは最も有用で,本例に見られるような自然治癒の可能性についても有用な情報を提供してくれると思われる.
掲載誌情報