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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科28巻6号

1993年06月発行

特別企画 痛みを主徴とする新しい疾患概念,特異病態

カルシウム結晶沈着症による脊柱管狭窄―結晶沈着部位と神経症状,疼痛の関係について

著者: 吉田宗人1 島欽也1 松浦伸一1 楠本幸弘1 夏見和完1 岩橋俊幸1 林信弘1 玉置哲也1

所属機関: 1和歌山県立医科大学整形外科

ページ範囲:P.699 - P.707

文献概要

 抄録:カルシウム(Ca)結晶沈着症という観点から脊椎靱帯石灰化症を検討した.対象症例は神経症状または疼痛を認めた頸椎13症例,男性2例,女性11例平均年齢74.5歳,と腰椎12例,男性2例,女性10例平均年齢72.4である.頸椎の12例は脊髄症や脊髄根症を呈し,1例は項部痛のみを訴えていた.腰椎の12例は馬尾障害や根性坐骨神経痛を呈した.CTではCa結晶は黄色靱帯のみならず,椎間板,後縦靱帯,椎間関節包,棘間靱帯,環椎横靱帯に認められ,その結果として脊柱管狭窄を発生していた.組織学的には反応性の肉芽様組織からなる靱帯肥厚を認める例が多く,硬膜外のfibrous bandにも7例においてCa結晶を確認し得た.また四肢関節では20例(83%)に軟骨石灰化が合併していた.X線回折や補正偏光顕微鏡による結晶同定はCPPDが10例,hydroxyapatite 3例,両方の混在が3例であった.以上の所見より,本症はsystemic diseaseであり,脊椎の各種支持組織への結晶沈着は脊柱管狭窄症の病因となり,様々な臨床症状,徴候を起こすと結論した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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