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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科28巻8号

1993年08月発行

文献概要

臨床経験

胸郭出口症候群として初療された胸椎部脊髄くも膜嚢腫の1例

著者: 澤泉卓哉1 白井康正1 宮本雅史1 橋口宏1 深井靖雄1

所属機関: 1日本医科大学整形外科

ページ範囲:P.925 - P.928

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 抄録:初発症状にて胸郭出口症候群を疑わせた脊髄くも膜嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は18歳の女性で主訴は左上肢のしびれ感と疼痛及び左手握力低下であった.初診時Morleyテスト・Wrightテスト・Roosテスト等が陽性で頸椎部のMRIが正常のため,胸郭出口症候群の疑いにて外来通院となったが,軽快しないため再度胸椎部のMRIを施行したところ背側のくも膜下腔に異常を指摘され精査目的にて入院となった.入院時の所見は握力は左5KgでC4からTh1までの異常知覚を認めるのみであったが,入院中Th7までの知覚鈍麻と背部痛が出現した.脊髄造影,CTMでも異常を認め,脊髄くも膜嚢腫の診断にて手術を施行した.術後症状は急激に改善した.本症の症状発現機序については牽引説,重量説など諸説あるが,本症例では嚢腫より頭側にあったことより下位頸髄の背側での圧迫とTengの述べる牽引説とが重なり合って上肢の症状が発現したものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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