整形外科を育てた人達 第130回
Robert Guy Pulvertaft(1907-1986)
著者:
天児民和1
所属機関:
1九州大学
ページ範囲:P.1130 - P.1131
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英国の整形外科はRobert Jonesが導入したが,その中に手の外科を発展させたのはGuy Pulvertaftであると思う.彼は1907年に英国のCorkで生まれた.教育はCorkのGrammar Schoolから始まり,Weymouth Collegeを経てCambridge大学に入学した.医学の勉強はSt. Thomas病院から始まり,外科医になるつもりでNorwichで外科を開始した.その後,Oswestryに移り,ここで当時英国の有力な外科医であったNaughton Dunn, Hendry, A. 0. Parker,さらにknightに同時になったHarry PlattとHenry Osmond-Clarkeに会うことが出来た.この後,LiverpoolでWatson-Jonesの門下に入り,Grimsbyの整形外科指導医になった.
Grimsbyは漁師の活躍した港で,船が魚を捕獲して帰港すると漁師の妻がきて魚の内臓を除去していた.この時に漁師の妻たちは自分の手の屈曲筋腱を切断することが多かったが,その手術が旨く出来ないために指を切断していた.Pulvertaftはこの指の切断に対して腱の移植を開始したが,その頃に手の外科で今は有名なBunnellが来て,Pulvertaftの手術を見学して手術の成績が自分のより優れているのを知り,英国人の指の方が米国人より器用だと思った.