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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科29巻10号

1994年10月発行

文献概要

臨床経験

bipolar cupのimpingementによるポリエチレン摩耗粉により大腿骨コンポーネントのゆるみをきたした2症例

著者: 藤井昌一1 菅野伸彦1 増原建作1 高岡邦夫1 小野啓郎1

所属機関: 1大阪大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1149 - P.1153

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 抄録:若年者の大腿骨頭壊死症に対して,press-fit型バイポーラー人工骨頭置換術後比較的早期に,広範な骨溶解を伴うステムのゆるみをきたした2症例を経験した.症例は共に28歳の男性で,ネフローゼ症候群にてプレドニゾロンの投与を受け,大腿骨頭壊死症を発症し,人工骨頭置換術を受けた.術後4年および5年で,X線上広範な骨溶解を伴うステムのゆるみを認めた.再置換術中,ステム周囲に厚い肉芽組織を認め,アウターヘッドの外縁は全周性にわたってポリエチレンの著明な摩耗を認めた.肉芽組織には,偏光で光る多数のポリエチレンの摩耗粉を認めたが,金属粉はほとんど認められなかった.以上よりアウターヘッドのimpingementによりポリエチレンの摩耗粉が多量に発生し,異物反応,骨吸収の末,ステムがゆるみに至ったと考えられた.今後はバイポーラー人工骨頭のアウターヘッドのデザインの改良,それが実現されなければ人工股関節全置換術(以下THRと略す)施行も考慮すべきであると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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