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臨床経験
Galeazzi骨折の2例―尺骨頭掌側脱臼例と背側脱臼例
著者: 泉康次郎1 高橋定雄1 安藤正1 高見博1 黒木武房1 雨宮雷太1 辻正二1 森俊二1
所属機関: 1関東労災病院整形外科
ページ範囲:P.1167 - P.1169
文献購入ページに移動今回の例では,橈骨への直接の外力と同時に前腕に掌側脱臼例では大きな回外力が,背側脱臼例では回内力が働いたと考えられた.いずれも観血的治療を行った.橈骨骨折部を整復すると尺骨頭も整復され,骨折部をプレートにて固定した.それぞれ4週,6週後にギプスを除去,ROMに問題はない.
切断肢を用いて掌側脱臼例をつくった.前腕回外にて尺骨頭の掌側への突出とともに三角線維軟骨複合体(TFCC)が緊張するのがわかった.ノミにて橈骨骨折を起こした.前腕の回内・外可動域は骨折前より約40°ずつ増した.尺骨頭の突出とTFCCの緊張はさらに大きくなり,TFCCを切ると脱臼が起きた.尺骨頭の脱臼には前腕への回内・回外力が重要で,橈骨骨折はそれを助長すると考えられた.
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