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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科29巻12号

1994年12月発行

文献概要

臨床経験

血管造影検査施行後に肺血栓塞栓を生じた1例

著者: 篠崎哲也1 長谷川仁1 有田覚1 渡辺秀臣1 長瀬満夫1 千木良正機1 宇田川英一1

所属機関: 1群馬大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1377 - P.1380

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 抄録:血管造影検査施行後,肺血栓塞栓を生じた1例を経験した,症例は61歳女性で左殿部悪性軟部腫瘍を疑い術前に右鼡径部大腿動脈からの刺入にて腫瘍の血管造影検査を行った.検査施行後6時間程経過したところで軽度の腹痛を訴え始めた.24時間経過後,鼡径部の圧迫を除去し体動を開始した直後より嘔吐と呼吸困難を訴えショック状態となった.その際の胸部単純X線写真では特に異常を認めなかった,しかし,動脈血液ガス検査で低酸素血症を,肺血流シンチグラフィーで両肺野の血流障害を認めた.肺血栓塞栓症と診断し直ちにt-PA(組織プラスミノーゲン活性化酵素)投与を行ったところ,著明な症状の改善が認められた.動脈硬化症を伴うような高齢者では血管造影後に血栓塞栓症を起こす可能性があることに注意すべきである.また,その発症に際してはできる限り早期のt-PA使用が有効な治療であると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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