icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科29巻12号

1994年12月発行

文献概要

臨床経験

肩甲骨骨折後に生じた肩甲骨轢音症の1例

著者: 加藤弘文1 秦公平2 藤田義嗣2 川那辺圭一2 中山威知郎2 岡田欣文2

所属機関: 1長浜赤十字病院整形外科 2松江赤十字病院整形外科

ページ範囲:P.1385 - P.1388

文献購入ページに移動
 抄録:肩甲骨骨折後に生じた肩甲骨轢音症の報告は稀であるが,われわれは肩甲骨体部骨折後の変形治癒により轢音と疼痛を生じた症例を経験した,症例は41歳の男性で,交通事故にて右背部,右肩を打撲し,第4から第9肋骨骨折,外傷性血気胸にて当院呼吸器科に1ヵ月間入院した.受傷後1ヵ月頃より右肩関節の屈曲,外転時に轢音と疼痛を生じた.受傷後2ヵ月後に当科を受診した.単純X線写真正面像で肩甲骨下角部より内縁に平行に走る骨折線を認め、軸射像で胸郭方向への転位が著明であった.手術では内側の骨片が外側の骨片の腹側にもぐり込んだ形で転位し,変形治癒していた.肩関節屈曲,外転時にこの転位した骨片が肋骨弓の一部に接触して轢音を生じたと考えられた.骨片間を切離し仮骨を切除して骨折部を整復し,Zuggurtung法にて固定した.肩甲骨体部骨折後の過剰な仮骨形成と同様に,変形治癒も肩甲骨轢音症の原因となり得ると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら