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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科29巻12号

1994年12月発行

文献概要

臨床経験

上腕骨滑車形成不全とガングリオンにより発症した肘部管症候群の1例

著者: 樋口成臣1 積木秀明2 上野起功2

所属機関: 1南島病院整形外科 2菰野厚生病院整形外科

ページ範囲:P.1389 - P.1391

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 抄録:われわれは上腕骨滑車形成不全により脱臼した尺骨神経がfibrous band部分でganglionにより圧迫され発症した肘部管症候群の1例を経験したので報告する.患者は41歳,女性.スーパーの店員.約2週間前からの左小指のしびれと脱力感を主訴に来院.X線所見でも,両側の上腕骨滑車の形成不全と尺骨神経溝の低形成を認めた.手術所見では,尺骨神経は肘の運動に関係なく前方に脱臼し,走行異常と言える状態で周囲の組織と癒着していた.またfibrous bandのすぐ近位にganglionが存在しており,fibrous bandとの間で尺骨神経を強く圧迫していた.上腕骨滑車形成不全では尺骨神経の走行異常やganglionが好発しやすく,そのことが尺骨神経麻痺の原因となっている.
 上腕骨滑車形成不全が認められた患者においては,尺骨神経麻痺の出現に注意する必要があると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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