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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科29巻2号

1994年02月発行

雑誌目次

視座

卒前教育について考える事

著者: 乗松尋道

ページ範囲:P.115 - P.115

 卒前教育のカリキュラムが昨年より少しずつ変わって,来年からは臨床実習が5年次の4月から始められようとしている.それに伴って系統講義の時間数が15回に減らされてしまった.私が琉球大学医学部に在職していた頃の半分の回数しかなく,整形外科学全てを系統講義でという考えは捨て,入門編として要点のみ教えるほかない.言うまでもなく,卒前教育では全ての科が必修であり,卒業してどんな専門に行こうとも,彼等の多くが選択する卒後教育はストレート方式であるから他科の患者を目の前にしてその診断技術を体験し,治療法について学習する機会は学生の間しかないのである.
 概して臨床講座は忙しく,全てが学生の講義に情熱を持ってやっているとは限らず,今年も整形外科の授業を始めた時には出席率は悪く,授業中に出たり入ったりする学生が何人かはいた.そこで最初の授業では整形外科疾患の中から学生が興味を起こしそうな一般外傷,スポーツ外傷などを説明し,つぎの授業からスライドの中に様々な社会問題に関するものをはさんで楽しい話をしたり,1/3の時間はスライドは使用せずに私が階段教室を上がり下がりしながら学生に主に解剖学の知識について質問を試みたりした.次第に教室の中は落ちつき出席率も良くなり笑いが出るようになった.

論述

上肢における血管柄付骨移植術の検討

著者: 勝木雅俊 ,   平山隆三 ,   多田博 ,   吉田英次

ページ範囲:P.117 - P.123

 抄録:上肢における外傷後および腫瘍切除後の広範囲骨欠損の再建術として血管柄付骨移植術を行い若干の知見を得たので報告する,症例は10例,男性8例・女性2例である.手術時年齢は22歳から60歳である.原因疾患は骨腫瘍切除後骨欠損5例,外傷後骨欠損5例である,受骨部位は上腕骨部2例,橈骨部5例,尺骨部2例,中手骨部1例である.供骨部位および手術方法は,血管柄付腓骨移植術9例,血管柄付腸骨移植術1例である,経過観察期間は2~11年,平均6.5年である.全例一期的に骨癒合が得られ,骨癒合期間は術後2~4ヵ月が9例,8ヵ月が1例であった.術後経過において腫瘍の再発,感染の再発および疲労骨折は認めていない.手関節部では移植骨に関節形成術を行うことで良好な機能を獲得できた.長期経過観察例においては移植骨の形態変化つまりremodelingを認めた.

腰椎椎間孔部狭窄症に対する手術法の検討

著者: 斉田通則 ,   藤谷正紀 ,   金田清志

ページ範囲:P.125 - P.132

 抄録:変性変化に伴う腰椎椎間孔部狭窄症の手術例33例を対象に,本症に対する手術法について検討した.術前椎間不安定性のある例では片側椎間関節切除による神経根除圧とinstrumentationを使用した後側方固定術が適応である.不安定性のない例では椎間関節を温存したlateral foraminotomyにより良好な術後成績が得られた.我々の方法は椎間孔部で椎弓の外側と上関節突起の先端を切除する後方除圧に加え,up-down stenosisに対する除圧を行う目的で椎弓根の下縁を同時に切除することが最大の特徴である.自験例の33例中術前椎間不安定性を認めたものは6例(18%)のみで,本症では固定術の適応となるものは少ないと考えられた.従って固定術を行わないlateral foraminotomyは本症に対し非常に良い適応があり,優れた手術法である.

肩関節上方関節唇付着部断裂の画像診断

著者: 井澤一隆 ,   米田稔 ,   廣岡淳 ,   林田賢治 ,   脇谷滋之

ページ範囲:P.133 - P.142

 抄録:関節鏡視下に肩関節上方関節唇付着部断裂と診断された36例36肩と上方関節唇部に異常所見がみられなかった40例40肩を対象に,MRI及びCT関節造影(CTA)において特徴的な画像所見が存在しないかを検討した.上方関節唇付着部断裂に特徴的なMRI所見はT2強調・斜前頭断像における上方関節唇・臼蓋間の線状の高~中間信号領域であり,CTA所見は臼蓋上方部における上方関節唇・臼蓋間の低輝度領域であった.MRI及びCTAにおける特徴的画像所見の診断率は,MRIでsensitivity 41%,specificity 86%,accuracy 63%,CTAでsensitivity 45%,specificity 93%,accuracy 73%であり,MRI及びCTAは上方関節唇付着部断裂の術前診断に有用であった.また,上方関節唇断裂の転位の程度が高度である程CTA所見は陽性となりやすく,CTAは転位程度の評価にも有用であることが判明した.

シンポジウム 反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)をめぐって

緒言

著者: 玉井進

ページ範囲:P.146 - P.146

 平成5年4月に開催された第66回日整会において反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)がパネルディスカッションに採り上げられ,広島大学生田義和教授と私が座長の大役を仰せつかった.まことに摑みどころのない難しいテーマであったが,この分野で経験豊かな方々のご参加を得て,なんとか有意義な討論を持つことができた.今回,誌上シンポジウムに採り上げることになり,お一人を除くシンポジストの皆様にご執筆いただけたのは幸いであった.
 RSDは1864年にMitchellによって初めて提唱されて以来,130年を経過しているにも拘らず,いまだその名称,定義,分類,治療法などが確立されていないために今なお混乱を招いている疾患である.日整会用語集では「反射性交感神経性ジストロフィー」となっているので,この名称を用いることに統一したい.

反射性交感神経性ジストロフィーの病態と治療

著者: 真下節 ,   柴田政彦

ページ範囲:P.147 - P.154

 抄録:反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)は外傷後に発症する持続性疼痛や組織の萎縮を主とする症候群である.発症には交感神経の緊張が強く関与していると考えられていたが,発症早期では交感神経の活動は正常に近いことが明らかになった.また,交感神経ブロックの有効性と交感神経機能の障害の程度との間にも相関がみられなかった.このことから,本疾患に交感神経ブロックが有効であるのは交感神経機能の異常が存在するからではないと考えられる.RSDに対する治療として,交感神経ブロックや血管拡張薬の局所静脈内投与法が非常に有効である.グアネチジン,ニカルジピンおよびニトログリセリンの局所静脈内投与において,それらの疼痛軽減効果は疼痛閾値の上昇よりも皮膚組織血流や皮膚温度の上昇とよく相関していた.これは血管拡張薬の疼痛緩和作用が主に患部の血流改善作用によることを示唆している.

膝関節における反射性交感神経性ジストロフィーの臨床像と治療

著者: 小林晶 ,   福元敬二郎

ページ範囲:P.155 - P.165

 抄録:膝関節部における反射性交感神経性ジストロフィー16例,17関節の自験例の臨床像と治療について先ず述べ,総説的な記述を加えた.発症誘因として最も多かったのは,手術によるもので,このうち2関節は伏在神経損傷があった.誘因の大小は症状と並行しない.疼痛は上肢に比し軽度で,神経損傷が無い限りいわゆるburning painはない.自律神経症状は炎症を思わせる,腫脹,熱感,発赤がありwarm phaseが圧倒的に多い.上肢のような3期に分かれて推移するものはなかった.X線上の骨萎縮,骨シンチなどは膝蓋骨,膝蓋大腿関節を中心にみられるのが特徴である.治療は持続硬膜外ブロック,腰部交感神経節ブロックを行い,薬剤の経口投与,理学療法などを行うが,決して暴力的であってはならない.神経腫切除術は効果があった.なかには心身症や補償問題がからみ,複雑な因子があるので,治療上考慮しなければならない.これらの予後は不良である.

反射性交感神経性ジストロフィーに対する温冷交代浴療法の試み

著者: 水関隆也

ページ範囲:P.167 - P.173

 抄録:反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の治療は理学療法から神経ブロックまで多種多様である.その発生には外傷後に生じる末梢神経系の血管調節系の不均衡と,交感神経系の過緊張が深く関与しており,浮腫や痛みを生ずるとされている.一方,凍瘡(しもやけ)の発症には寒冷侵襲に対する細動静脈の拡張収縮の不均衡,すなわち交感神経系の機能低下がその原因の一つとされている.両者とも,血管調節系の異常という点で共通点がある.地方によっては古くからしもやけの治療としてよく用いられていた温冷交代浴に着目,RSDの治療に試みた,その結果,23例中,19例に満足すべき除痛効果を得れた.RSDの早期認識,早期治療開始が良結果につながるという一般的法則を覆すものではないが,本法は安全で簡便な治療法で副作用はないのでRSDの治療の第一選択として勧められる.

上肢の反射性交感神経性ジストロフィーの治療

著者: 古瀬洋一 ,   松田英雄 ,   楠正敬

ページ範囲:P.175 - P.183

 抄録:上肢の反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)に対して,ステロイド併用局所静脈内ブロック下にマッサージとマニピュレーションを行う治療法を施行し,その適用と成績について検討した.RSDの定義には諸説があるが1986年のInternational Association for the Study of Painの定義を参考に,カウサルギーとRSDを区別した.1987年以降に治療した上肢のRSD62例65肢を対象にした.ベタメサゾン20mgと1%キシロカイン15~30mlを使用し,局所静脈内麻酔手技に準じて施行した.治療成績の評価は各種臨床像を点数化(10点満点)した基準を作成し,治療前後で比較した.その結果,全体では治療前1.6±1.33から治療後8.8±1.73に改善していた.stage別の比較ではstage 1は治療前2.8±1.03が治療後9.9±0.32に,stage 2は治療前1.4±1.32が治療後9.0±1.57に,stage 3は治療前1.0±0.87が治療後6.8±1.64と各群とも有意差をもって改善していた.特にstage 1,stage 2のRSDでは著効を得ることができた.

上肢反射性交感神経性ジストロフィーの治療法の検討

著者: 宗重博 ,   生田義和 ,   木村浩彰 ,   戸田克広

ページ範囲:P.185 - P.192

 抄録:我々は1970~1992(昭和45年から平成4年)までに,当科を受診した上肢の反射性交感神経性ジストロフィー86症例について,手術治療,内服治療,transcutaneous electric stimulation system,星状神経節ブロック(SGB)の結果について検討した.また我々は,1889年にワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン®)が特定のタイプの反射性交感神経性ジストロフィーの早期投与として有効である31)ことを発見したので,投与結果と投与量について述べた.対象は男性38例,女性48例で,年齢は12~87歳で平均51.5歳であった.結果は,以下の通りであった.①ノイロトロピン®は,特にminor traumatic dystrophyに有効であった.②ノイロトロピン®は,1日4~6錠で有効であつた.③ノイロトロピン®の治療効果発現時期は,5週までであった.④手術成績は不良であった.⑤SGBは有効であった.

反射性交感神経性ジストロフィーに対する損傷神経切除術

著者: 村上裕子 ,   石井清一 ,   薄井正道 ,   山下敏彦 ,   荻野利彦 ,   堺慎 ,   加藤博之

ページ範囲:P.193 - P.199

 抄録:我々は,種々の治療に抵抗したRSD症例に対し,疼痛領域の神経切除術を行い,神経切除部位の疼痛が消失,軽減する現象を観察してきた,本論文では,その特異な臨床所見と検査所見を分析し,RSDの疼痛発現機序を考察した.
 神経切除術を施行した難治性RSD症例は,17例(男9例,女8例)である.手術時年齢は,30~63歳(平均54.5歳)である.全例で,灼熱痛が神経損傷部位から,その神経支配領域に認められた.損傷神経に隣接する健常神経をブロックすることにより,全例で灼熱痛の消失~著減をみた.損傷神経を段階的に中枢部から部分切除した.灼熱痛は,神経切除領域に一致して消失~著明軽減した,灼熱痛の範囲から切除した神経は高度の変性に陥っていた,変性神経および周囲組織にsubstance P(SP)の局在が認められた.

手術手技 私のくふう

環軸椎片側椎弓切除による上位頸髄腫瘍摘出術

著者: 原田征行 ,   植山和正 ,   伊藤淳二

ページ範囲:P.201 - P.207

 抄録:上位頸髄腫瘍の摘出術は容易ではない.特に脊髄の前方に位置する上位頸髄腫瘍はより困難である.これまで我々が経験した手術例の中から,後方侵入により環軸椎の片側椎弓切除で摘出可能だった上位頸髄の硬膜内髄外腫瘍9例について報告する.後方の構築上重要な椎弓の温存を図る意味で,最小限の切除での脊髄腫瘍摘出を考慮した,術中SEP(spinal evoked potentials)とMEP(motor evoked potentials)をモニターしながら,顕微鏡下にCUSA(cavitron ultrasonic surgical aspirator)を使用することによって,安全に全摘出が可能であった.また,軸椎棘突起を残し,後頸筋群を温存,再建することにより,術後の後彎変形もみられず,有用な方法である.

整形外科を育てた人達 第123回

William Adams(1820-1900)

著者: 天児民和

ページ範囲:P.208 - P.209

Littleとの出会い
 William Adamsは19世紀の始まりの頃にAntiseptic Operationの始まった頃に活躍した外科医である.1820年にLondonで生まれた.早くから医学の勉強を始めて,先ずSt. Thomas schoolに入学して解剖学と生理学の勉強を開始し,やがて博物館の職員になり,更に解剖学の示説教員(demonstrator)となった.
 また当時,英国整形外科の開拓者であったLittleと出会い,その招きでRoyal Orthopaedic Hospitalに勤務して整形外科の道に入った,ここで,腱断裂を経験して,腱の縫合を研究し,腱鞘を軽視してはならないとの論文を発表したが,当時医学界の権威であったPagetが反対した.しかし,これに屈することなく,腱の縫合には腱鞘で縫合部を包むのが良いと考えた.その後9年間に15例の腱断裂の縫合を行い,腱鞘も維持すべきと考えたが,筋肉拘縮では筋膜を切り,矯正した.筋膜を切り矯正するのをfasciotomyと言ったが,特別に手術刀をfasciotomと命名した.関節の変形の矯正には,骨膜下の骨切術を行い,好成績で変形の矯正に成功した.Adamsは,上記のごとく筋膜の収縮による変形と機能障害には皮下で筋膜を切断して対拠した,duputytrenの拘縮の治療には,著書もある.

整形外科英語ア・ラ・カルト・19

“neck”に関する日常英会話

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.210 - P.211

 “neck”はすでに日本語化した言葉であり,意味は頭と胴が繋がる細い部分,すなわち頸部のことであり,“首”という日本語訳が付いている.首の他に日本語では難関や支障の意味で使われることもある.“neck”の発音は“ネック”ではなく,“ネク”や“ネーク”である.その語源は中世英語の“nekke”や“necke”に由来しており,今回はギリシャ語やラテン語とは関係がない.医学英語では,首以外の臓器の細い部分を“neck”と表現するので,“neck”が付いた解剖学名は多い.
 日本語の首には,頸部を指す場合と首から上の部分.すなわち英語の“head”に相当する.また“head”には,日本語の頭のように頭髪の生えている部分だけを指す場合もある.

基礎知識/知ってるつもり

SLAP lesion

著者: 米田稔 ,   井澤一隆

ページ範囲:P.144 - P.145

【Originalの定義】
 SLAP(Superior Labrum from Anterior to Posterior)lesionとは,1990年にSnyderが上腕二頭筋長頭腱付着部を含む前上方から後上方(右肩でいえば10時から2時まで)にかけての肩関節上方関節唇の様々な損傷を統括し命名したもので,形態的に4型に分類される.
 そのoriginalの分類は,type I:上方関節唇部に変性を伴う著明なけば立ちが認められるが,関節唇の臼蓋縁付着部の断裂及び上腕二頭筋長頭腱の損傷は認められない(図1).type II:上方関節唇部の変性を伴うけば立ちについてはtype Iと同様で,それに加えて臼蓋縁における関節唇付着部の断裂が認められ,それによる上腕二頭筋長頭腱・関節唇複合体の不安定性及び転位が認められる.上腕二頭筋長頭腱の損傷は認められない(図2).type III:上方関節唇にバケツ柄状断裂が認められ,断裂した関節唇は上腕骨頭関節窩間に介在することもある.関節唇の臼蓋縁への付着部の断裂及び上腕二頭筋長頭腱の損傷は認められない(図3).type IV:type IIIと同様のバケツ柄状断裂に加えて,それと連続した上腕二頭筋長頭腱の損傷が認められる(図4)1),後にこの4型に加え,複合型(complex SLAP lesion)としてtype Vを追加している2)

臨床経験

慢性関節リウマチにおけるBucillamine投与の適応―とくに金剤やD-Penicillamineが無効あるいは効果減弱例に対する有用性

著者: 四宮文男 ,   岡田正彦 ,   神沢賢 ,   荒木誠 ,   浜田佳哲 ,   三好孝生

ページ範囲:P.213 - P.219

 抄録:慢性関節リウマチ(RA)の治療に際して抗リウマチ剤(DMARDs)が占める位置は大きい.比較的新しいDMARDであるBucillamine(BCL)の有用性は高いが,副作用出現頻度も低くなく,その適応については検討が必要である.我々はDMARDsを段階的に使用しており,BCLは金剤やD-Penicillamineが無効あるいは長期投与後に効果減弱を示した例に対する第三選択として使用している.BCL投与200例のうち副作用は37%に認められたが,半数は投与量の減量によって継続投与が可能であった.1年以上投与120例のLansbury指数は投与前平均68.2%から投与後6カ月で31.6%へ,1年で30.3%へと有意な改善を示し,その後も改善が維持できていた.炎症反応や免疫グロブリン値,血清補体価,リウマトイド因子も有意な低下を示していた.炎症の軽快と再燃を繰り返すRAの治療においてDMARDsの段階的使用法は有用であり,第三選択としてのBCLの価値は高いものと考えられた.

慢性関節リウマチに合併した高度の頭蓋底陥入症の1例

著者: 土田敏典 ,   北野喜行 ,   横川明男 ,   水野勝則 ,   小林忠美

ページ範囲:P.221 - P.224

 抄録:我々は,環椎から第3頸椎にかけて頭蓋底に陥入したRA症例に対し後頭骨頸椎固定術を施行したので報告する.症例は67歳,女性で10年間のRA歴がある,2年間後頭部痛が持続し,X線写真上では歯突起はMcGregor線より約20mm頭側に陥入し,環椎は軸椎上に垂直脱臼し前弓は第3頸椎椎体前方まで達していた.頭蓋直達牽引を行ったが陥入は改善せず,Halo装具にて後頭部痛の軽減を確認し,後頭骨から第7頸椎までを腸骨から3×8cmの全層骨で固定した.術後1年の現在,移植骨は骨癒合し後頭部痛は消失している.頸椎病変のあるRAでは,神経欠損症状,耐え難い痛み,X線写真上での不安定性がある場合に手術適応がある.本例では下位頸椎を含んだ骨の脆弱性,不安定性を認めたため,支柱移植骨で固定した.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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