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SLAP lesion
著者: 米田稔1 井澤一隆2
所属機関: 1大阪厚生年金病院整形外科 2大阪府立成人病センター整形外科
ページ範囲:P.144 - P.145
文献購入ページに移動SLAP(Superior Labrum from Anterior to Posterior)lesionとは,1990年にSnyderが上腕二頭筋長頭腱付着部を含む前上方から後上方(右肩でいえば10時から2時まで)にかけての肩関節上方関節唇の様々な損傷を統括し命名したもので,形態的に4型に分類される.
そのoriginalの分類は,type I:上方関節唇部に変性を伴う著明なけば立ちが認められるが,関節唇の臼蓋縁付着部の断裂及び上腕二頭筋長頭腱の損傷は認められない(図1).type II:上方関節唇部の変性を伴うけば立ちについてはtype Iと同様で,それに加えて臼蓋縁における関節唇付着部の断裂が認められ,それによる上腕二頭筋長頭腱・関節唇複合体の不安定性及び転位が認められる.上腕二頭筋長頭腱の損傷は認められない(図2).type III:上方関節唇にバケツ柄状断裂が認められ,断裂した関節唇は上腕骨頭関節窩間に介在することもある.関節唇の臼蓋縁への付着部の断裂及び上腕二頭筋長頭腱の損傷は認められない(図3).type IV:type IIIと同様のバケツ柄状断裂に加えて,それと連続した上腕二頭筋長頭腱の損傷が認められる(図4)1),後にこの4型に加え,複合型(complex SLAP lesion)としてtype Vを追加している2).
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