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論述
末梢神経に発生した神経鞘腫の臨床診断とキューサーによる治療
著者: 森本一男1 黒石昌芳1 富田佳孝1 指方輝正2
所属機関: 1兵庫県成人病センター整形外科 2兵庫県成人病センター病理部
ページ範囲:P.253 - P.258
文献購入ページに移動発生年齢は平均51.6歳,多発症例が3例,特に好発部位は見られなかった.術前の臨床症状で圧痛と放散痛を認めたものは9例,神経症状は4例で,注意深く観察すれば神経鞘腫の臨床診断は可能である.画像診断でMRIが最も有用で8例に行った.神経束との関連性が写しだされ,T1強調像でlow,T2強調像でhighとlowの混合像を示し,他の軟部腫瘍との鑑別に役立った.T2強調像はAntoni AとBの混合の割合が写し出され,病理組織像とMRIの像が連動していた.9例にキューサーによる掻爬を施行し,局所再発はなく,2例に知覚鈍麻と1例に運動麻痺の合併症を認めたが3カ月で回復した.神経鞘腫は安易に摘出すれば神経の欠落を生ずる.術前の臨床診断の重要性とMRIが有用であることを強調した.
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