icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科29巻4号

1994年04月発行

文献概要

特集 椎間板―基礎と臨床(第22回日本脊椎外科学会より)

椎間板の酸素消費,乳酸産生および基質合成と組織酸素分圧

著者: 石原裕和1 平野典和1 大島博1 辻陽雄1

所属機関: 1富山医科薬科大学医学部整形外科 2オックスフォード大学生理学研究所

ページ範囲:P.357 - P.361

文献購入ページに移動
 抄録:基質酸素分圧が椎間板細胞代謝に及ぼす影響を明らかにするため,培地中の酸素分圧を1%から21%まで変化させた時の牛尾椎椎間板,髄核,外層線維輪の酸素消費量,乳酸産生量およびプロテオグリカン,プロテイン合成能の変化を調べた.また嫌気性,好気性解糖の阻害剤を用いて,エネルギー産生系と基質合成についても検討した.培地の酸素分圧を1%から21%まで増加すると酸素消費量は指数関数的に増加し,逆に嫌気性代謝産物である乳酸産生量は1%から10%まで酸素分圧の上昇とともに急速に低下した.低酸素分圧においてはプロテオグリカン,プロテイン合成の低下が起った.エネルギー産生の面からは基質合成には嫌気性,好気性代謝ともに重要であり,特にプロテイン合成には好気性代謝が重要であった.酸素分圧の低下は好気性代謝から嫌気性代謝へと椎間板エネルギー産生系を変化させ,基質合成能の低下をもたらす.かくして,椎間板への酸素供給の低下は,椎間板変性の大きな一要因となる可能性がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら