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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科29巻4号

1994年04月発行

文献概要

特集 椎間板―基礎と臨床(第22回日本脊椎外科学会より)

腰椎脱出椎間板組織の免疫組織化学的検討

著者: 土井田稔1 金谷貴子1 原田俊彦1 松原司1 水野耕作1

所属機関: 1神戸大学医学部整形外科

ページ範囲:P.383 - P.388

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 抄録:腰椎椎間板ヘルニアの症状の発現や経過は多様であり,特に脱出型ヘルニアでは,症状の自然寛解例やMRIでヘルニア組織の縮小や消失が確認されている.病理組織学的には,脱出型ヘルニア組織の33%,遊離脱出型ヘルニア組織の全例に単核球を主とした炎症細胞浸潤を認め,一部の組織では小血管像を伴っていた.これらの細胞はIL-1,TGF-β,bFGFなどのサイトカインや細胞増殖因子が陽性に染色され,局所の炎症反応の活性化や慢性化に重要な役割を担っていることが示唆された.一方,in vitroの実験でも炎症細胞浸潤を伴うヘルニア組織内の細胞は,ヒト血管内皮細胞や線維芽細胞の増殖を有意に促進することが認められた.このことより,椎間板ヘルニアが硬膜外腔へ脱出すると炎症反応が惹起され,炎症細胞浸潤や新生血管の侵入が起こり,炎症の慢性化およびヘルニア組織の破壊,吸収過程が進行することが考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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