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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科29巻5号

1994年05月発行

文献概要

論述

腰部椎間板ヘルニアにおける造影MRIの有用性―ヘルニア周囲瘢痕組織の造影機序とその意義

著者: 森田千里1 吉沢英造1 中井定明1 小林茂1 森田知史1 小島基宏1

所属機関: 1藤田保健衛生大学整形外科

ページ範囲:P.551 - P.561

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 抄録:今回は,腰部椎間板ヘルニアと周囲組織との間に生ずる硬膜外瘢痕組織に焦点を当て,造影MRIの検討を行った.対象は当科にて治療を行った腰部椎間板ヘルニア44例である.なお,手術を施行した18例では,ヘルニアおよびその周囲の硬膜外組織を光顕および電顕下に観察し造影MRIと比較・検討した.また造影MRIによって,ヘルニアを3つのタイプに分類した.すなわちヘルニア周囲の造影されたものと,造影されなかったものに分類し,さらに造影されたものを一部造影されたものと,全周が造影されたものに分類した.造影後のT1強調像では,66%において硬膜外瘢痕組織が高信号域を呈しヘルニアの神経根への圧迫面がより明瞭に描出された.手術を施行した18例中の16例(88.9%)で造影MRIにより硬膜外瘢痕組織の造影効果が認められた.なお,ヘルニア周囲が一部造影されたものは母髄核と連続したヘルニアであり,全周造影されたものは脱出・遊離したヘルニアであった.そして手術時採取した硬膜外組織は豊富な血管を有する膠原線維組織から成り,密着班(gap junction)・窓(fenestra)を有するleaklyな新生血管がみられた,すなわち,造影MRIによる硬膜外瘢痕組織の造影効果は,Gd-DTPAが容易に血管外に漏出した結果生じ得ることが形態学的に証明された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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