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手術手技シリーズ 最近の進歩
脊髄正中離開症(Diastematomyelia)に対する手術
著者: 四方實彦1
所属機関: 1京都市立病院整形外科
ページ範囲:P.571 - P.579
文献購入ページに移動diastematomyelia(split spinal cord:脊髄正中離開)は椎体後面より椎弓にかけて存在する骨,軟骨,あるいは線維性の組織からなる中隔(septum)により脊椎管が縦に二分され,脊髄や馬尾が長軸方向に二分された状態(図1)であり,脊髄閉鎖不全症(spinal dysraphism)の範疇に属している.二分された脊髄はそれぞれ別個のくも膜,硬膜で覆われており中隔の頭側,尾側で癒合して本来の正常な一本の脊髄となっている.James4)らは中隔を有する症例20例中16例が骨性,3例が線維性,1例が混合型であったと報告している.1837年,Olliver9)らにより初めてdiastematomyeliaの概念が確立された.その後1940年,Herrenら3)が43例の臨床例をまとめ,病態につき詳細な報告をしてから臨床上注目を浴びるようになり,本疾患に関する論文も年々増加してきている1,5~7,10,11).その発生病理に関しては諸説があり,いまだ原因の定かでない先天性発生異常に起因する疾患である.
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