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臨床経験
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抄録:滑膜骨軟骨腫症が両側性に発生することは極めて稀少である.両側肩峰下滑液包内に発生した本症を経験したので報告する.症例は47歳男性で,主訴は両肩の運動時痛と右肩の嵌頓症状であった.諸検査から両側共に肩峰下滑液包内の腫瘤,腱板部分断裂と肩峰の下垂奇形が認められ,腫瘤摘出術,滑膜切除術,前肩峰形成術および腱板修復術を施行した.病理組織学的に滑膜骨軟骨腫症(Milgram分類stage ll)であることが確認された.両側に見られた肩峰の下垂奇形が誘因となり肩峰下インピンジメントが生じ,肩峰下滑液包と腱板に物理的な慢性的刺激を与え,肩峰下滑液包の滑膜骨軟骨腫症と腱板部分断裂が発生したと推測された.
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