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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科3巻7号

1968年07月発行

文献概要

境界領域

高カルシウム血症

著者: 熊岡爽一1

所属機関: 1国立がんセンター内分泌部

ページ範囲:P.599 - P.604

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I.カルシウム代謝
 食物中のカルシウムはVit. Dと副甲状腺ホルモンの存在において吸収を促進されるが,吸収率は100%よりはるかにひくく,経口的に摂取したカルシウムの吸収は決して良好ではない.カルシウムの貯蔵庫は他の鉱物質とは比較にならないほどに尨大であり,全身骨がこれに相当することは多言を要しない.血中のカルシウムはその約50%が血清蛋白とゆるく結合し,のこりはイオン化している.血中のカルシウムは神経筋の刺激性に重大な関係を持ち,常に10mg/100ml前後に厳密に保たれている.カルシウムは胆汁,腸液および尿中へ排泄される.胆汁,腸液への排泄機構は十分あきらかではないが,屎中対尿中のカルシウム含量は大略2:1とされている.腎では副甲状腺ホルモンは燐酸塩の尿細管よりの再吸収を阻害し,カルシウムの再吸収を促進するといわれている.したがつて,副甲状腺ホルモンが増加すると血中の燐は低下し,カルシウムは排泄がさまたげられて増加する.カルシウムの尿細管よりの再吸収が高まるときは,Renal Calcinosisをおこし,腎機能が低下してくる.時にはNephritis interstitialisがおこる.患者は時に口喝,多飲を訴え,多尿となることもある.また,高血圧を伴うこともある.高い高カルシウム血症が持続すると,数週のうちに腎機能は荒廃におちいる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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