文献詳細
文献概要
特別企画 阪神・淡路大震災―災害医療における整形外科医の役割
Crush syndromeとCompartment syndrome
著者: 山野慶樹1
所属機関: 1大阪市立大学整形外科
ページ範囲:P.1263 - P.1270
文献購入ページに移動第2次大戦中,ロンドン爆撃により家屋などの下敷になった人々の中で強い下肢の腫脹,ショック,ミオグロビン尿と腎障害を来した例がcrush injuriesとして1941年に報告された2,7).これはのちにcrush syndromeと名付けられ,局所の損傷を示すcrush injuryと分けられた10).その後,地震による家屋崩壊,炭坑などの労災,交通事故などの大きな外傷以外に,麻酔下のknee-chest肢位やまた,バルビタール中毒による長時間の圧迫でも起こることが報告されている12).
近年のcrush syndrome概念では,直達外力による筋の挫滅や長時間の圧迫,compartment symdromeなどによる筋の壊死から来る全身症状で,haemodynamicとmetabolic disturbanceに急性腎不全を伴ったものと考えられている6,9).今回の阪神・淡路大震災で,われわれの経験した症例を中心に,ここではcrush symdromeならびにこれを発症させる外傷につき,われわれの見解を述べる.
掲載誌情報