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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科30巻2号

1995年02月発行

文献概要

臨床経験

手術が必要であった肘滑膜ひだ障害

著者: 室賀陽子1 鈴木正孝1 佐久間雅之1 牧野仁美2

所属機関: 1東海病院整形外科 2中部病院

ページ範囲:P.217 - P.220

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 抄録:肘の滑膜ひだ障害と考えられた,30代の自転車組み立て工の男性と10代のバレーボール部員2人の3例を経験した.1例は両側性であった.2例に肘関節の弾発現象を,1例に可動域制限をみた.関節二重造影にて有用な所見を得た.手術により,関節包の外側部より輪状靱帯に達する滑膜ひだが存在し,一部膝半月板様に肥厚した部分が,肘関節の運動に伴い,腕橈関節内と橈骨頭頚部の間を移動し,これが弾発現象の本態であることを直視下に確認した.病理組織所見は滑膜組織の線維化を伴う肥厚と細血管の増生であり,炎症細胞浸潤や軟骨化はみられなかった.われわれの経験例と諸家の報告例より滑膜ひだ障害の発生機序として,先天的に比較的大きな滑膜ひだが存在し,スポーツや職業などにより頻回の微小外傷や慢性の機械的刺激が加わって,滑膜ひだに慢性炎症,変性,肥厚が起こり,次第にまたは外傷を機転として疼痛や弾発現象を生ずるに至ったと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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